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■グラサントレーナー“Roo(ルー)”とは…?

早大ラグビー部佐々木組の学生トレーナーとして、早大の大学選手権連覇、日本選手権でのトヨタ自動車戦勝利に貢献。卒業後、南半球へと旅立ち、現在はオーストラリアの某強豪プロチームで修行を続けるさすらいのトレーナー。トレードマークはサングラス。

本人によるブログは(http://gurasantr.exblog.jp/)。

※“Roo”のスポーツクリ ニック」についてご意見・ご感想はこちらへどうぞ
お問い合わせ先 rugbycolum@wasedaclub.com

“Roo”のスポーツクリニック

Vol.22 ウォーミングアップ投稿日時:2008/04/02(水) 16:29rss.gif

練習前や試合前に準備運動(ウォーミングアップ)を必ずすると思いますが、その本当の意味、効果を理解している人はあまりいません。今回は、ウォーミングアップをすると身体ではどのようなことが行なわれているかについて少し難しくなってしまいますが、生理学的な話を中心に紹介します。

 

ウォーミングアップとは、

運動の前の準備→怪我の予防やパフォーマンス向上には必要不可欠

 

生理学的側面

日常生活時の身体は

 ・毛細血管は収縮し血液をあまり流していない。

 ・筋温・体温・心拍数は低く運動に適した状態ではない。

 ・中枢神経(脳・脊髄)も一部しか使われていない。

 

日常生活の状態で急に運動をすると怪我の原因になります。このような運動に適さない状態を、運動に最適な状態へ準備するのがウォーミングアップです。それでは、どのような事が体内で起こっているのか、具体的な現象を見て行きましょう。

 

1.筋温の上昇

身体を動かすことで筋収縮を促し、筋温・体温を上昇させます。このことはパフォーマンスに大きく関係しています。例えば、筋の酵素活性を高め筋における代謝を亢進させます。具体例を上がると、筋温が1℃上昇すると細胞の代謝率は13%増加し、さらに筋の粘性を低下させ、筋の力発揮をスムーズに行なえるようにします。

 

2.呼吸循環系の応答性が向上し酸素摂取量を増やす

ウォーミングアップで一度息を上げることで、肺胞を広げることができ、より多くの酸素を体内に取り入れられるようになります。

また、ウォーミングアップを実施すると、血液中で酸素を筋などの細胞組織に運ぶ、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素を細胞組織で酸素を解離しやすくなり、筋への酸素供給を増加させます。したがって、筋をスムーズに動かせるようになるのです。

 

3.神経機能の亢進

ウォーミングアップにより中枢神経(脳・脊髄)の興奮は亢進し、筋温が上がり力をスムーズに発揮できるようになった筋と相まって、運動刺激に対する神経系の反応性を高められます。従って、俊敏な動きがよりスムーズにできるようになります。

 

4.柔軟性の増加し傷害予防に効果的

ウォーミングアップを行うことで筋への血流量の増加により筋の粘性や弾性などの物理的性情の変化や拮抗筋の緊張度の低下、関節可動範囲の増加がおこり柔軟性の向上がみられます。

筋の柔軟性が確保され、関節可動範囲が十分に確保されることにより、傷害を未然に防ぐことが可能になります。また、バランスディスクを使ったバランストレーニングやウォーミングアップで各競技特有の動きを行うことで、筋や腱にある固有受容器という感覚器官を刺激することにより、捻挫などの傷害の予防に効果を発揮します。

 

5.心理的に運動に備える、試合への集中力の向上

必ず運動前にウォーミングアップを行うことで、気持ちがスポーツに集中していき、身体だけでなく心のほうもスポーツに準備することができます。その事をルーティーン(習慣の確立)と言います。

MLBシアトルマリナーズ、イチロー外野手が打席に入る時にやる「サムライポーズ」はいつも同じ動作を同じリズムでやることで精神面に働きかけ、落ち着いて集中した状態のプレイを可能にしているそうです。いつも同じウォーミングアップをすることで精神的な準備もできます。

このようにスポーツの前には身体だけではなく、心もウォーミングアップしてあげることが必要です。

 

注意点

ウォーミングアップにおける筋温の上昇は45~90分間持続されますが、ウォーミングアップ終了後、練習や試合までに5~10分間休息してしまうと循環系(心肺系)の効果は、消失してしまうという研究結果がDe Bruyn-Prevonst.Pの研究によって出ており、安静にしているだけではなく、ストレッチをしたり、腿上げやその場ダッシュなど狭いスペースでもできる間欠的運動を繰り返してから練習や試合に臨むことをオススメします。

 

 ・ ウォーミングの現状 

 

現在の主流のウォーミングアップは静的ストレッチ(スターティックストレッチ)を行いません。

 

ウォーミングアップにおいて、静的ストレッチがスプリンターのパフォーマンスを低下させるという論文が出されて以来、ラグビーの世界でも静的ストレッチを試合や練習直前のウォーミングアップで行うことを避ける傾向にあります。従って、Wallabies、All Blacks、Super14のチームでのウォーミングアップは動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)を中心に行われています。

しかし、筋肉が十分に温まっていない状態でのダイナミックストレッチは筋損傷(肉離れなど)の危険性を伴うのも事実です。ダイナミックストレッチを行う前に十分なジョギングやステップドリルなどで、しっかり身体を温めてからダイナミックストレッチを行いましょう。

 

ウォーミングアップに最適なダイナミックストレッチをいくつか紹介します。

 

Dynamic stretch

 ● Leg swing(前後)

目的:足の屈筋群・伸筋群のダイナミックストレッチ。

姿勢:足を大きく前後に振ります。

回数:10回ぐらいが目安です。

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 ● Leg swing(左右)

目的:足の内転筋群・外転筋群のダイナミックストレッチ。

姿勢:足を大きく左右に振ります。

回数:10回ぐらいが目安です。

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 ● Back kick

目的:モモ前のダイナミックストレッチ。

姿勢:うつ伏せに寝て、踵でお尻を蹴ります。

回数:左右10回ぐらいが目安です。

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 ● Calf

目的:アキレス腱・ふくらはぎの筋肉のダイナミックストレッチ。

姿勢:写真のような姿勢になり、片足は膝を少し曲げ・踵を少し地面から浮かします。もう一方の足は膝を伸ばし・踵を地面に付けたままにします。それを交互に連続して行います。

回数:左右10回ぐらいが目安です。

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 ● Sumo SQ External rotation

目的:股関節の回旋筋群のダイナミックストレッチ。

姿勢:①相撲の四股を踏みます(英語で四股の事をスモウ スクワットと言います)

   ②四股の姿勢から片足立ちになり、足をそのまま後ろに回します(陸上競技のハードルの逆の動きです)。

回数:左右5回ずつぐらいが目安です。

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 ● スコーピオン

目的:背中(腰背部)のダイナミックストレッチ。

姿勢:うつ伏せに寝て、上半身を捻りながら足を反対側の地面につけます。それを左右交互に連続して行います。

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 ● Spider

目的:臀部・股関節周囲・下肢の複合的なダイナミックストレッチ。

姿勢:右足大きく振り出します。足がちょうど手の外側に来るようにします。その姿勢を2秒間維持します。次に左で同じような姿勢になります。

回数:左右5歩ずつ(計10歩)が目安です。

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 ● 肩1(屈曲&伸展)

目的:肩の周囲筋のダイナミックストレッチ。

姿勢:腕を大きく前後に振ります。

回数:左右10回ぐらいが目安です。

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 ● 肩2(内転&外転)

目的:肩の周囲筋のダイナミックストレッチ。

姿勢:腕を大きく“気を付け”の姿勢から“伸び”の姿勢まで振ります。それを繰り返します(肩の内転・外転)

回数:左右10回ぐらいが目安です。

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 ● 肩3(水平内転&水平外転)

目的:肩の周囲筋・胸部・背中の上部のダイナミックストレッチ。

姿勢:腕を大きく“前にならえ”の姿勢から水平後方に振ります。

回数:左右10回ぐらいが目安です。

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これらのダイナミックストレッチで、ほぼ全身の筋肉を網羅出来ます。さらにスキップやカリオカなどのRunningをいれると、なお効果的です。

最後に、ダイナミックは必ず身体が温まった状態でおこないましょう。

 

参考文献

形本静夫.ウォーミングアップとクールダウンの生理学:スポーツ生理学:市村出版.2001;41-49

 

 

 

 

 

 

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