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■グラサントレーナー“Roo(ルー)”とは…?

早大ラグビー部佐々木組の学生トレーナーとして、早大の大学選手権連覇、日本選手権でのトヨタ自動車戦勝利に貢献。卒業後、南半球へと旅立ち、現在はオーストラリアの某強豪プロチームで修行を続けるさすらいのトレーナー。トレードマークはサングラス。

本人によるブログは(http://gurasantr.exblog.jp/)。

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“Roo”のスポーツクリニック

Vol.25 水分補給投稿日時:2008/04/28(月) 16:00rss.gif

一番身近なスポーツ科学 「水分補給」

 

 前回の熱中症の引き続き、これからの季節に旬な話題。スポーツ活動時の水分補給の重要性や効果的な水分補強の方法について、科学的な裏づけが含みながら紹介したいと思います。

 

夏場のスポーツにおいて水分補給は、ものすごく重要です。

水分補給は脱水や熱中症の予防に効果的なだけでなく、パフォーマンスに大きな影響を与えます。まさに一番身近なスポーツ科学とも言える水分補給ですが、摂取温度、摂取タイミング、中身などいろいろな要素を気にすることでさらなる効果が得られます。

 

水分補給の重要性

水分は身体の6070%という大きな部分占めているのみではなく、運動に伴う物質代謝、体内の恒常性の維持など、全ての機能に不可欠であり、しかも老廃物の排出も助けています。

日常生活安静時の、私たちの身体は以下のような水分循環が行われています。

 

・日常生活における体内の水分消費

呼吸   500ml

発汗   500ml

排尿   1400ml

大便   100ml           Total 2500ml

 

・日常生活における水分摂取

食事   1000ml

体内合成 300ml           Total 1300ml

 

2500ml1300ml1200ml

 

このように私たちの身体は無意識なうちに1200mlの水分不足を起こしています。この水分量は、普段私たちは水やお茶、コーヒー、ジュースなどを飲むことによって補っていますが、スポーツ時(特に夏場のスポーツ時)では発汗量が著しく増加するため、意図的な水分摂取をしないと身体にダメージを与えてしまいます。

 

運動時の水分補給の重要性

・熱解放のしくみ

運動に伴う体温の過剰な上昇の防止は、体表面からの水分蒸発による気化熱放散のメカニズムなしではとうてい不可能です。運動に伴って発生する熱エネルギーは、運動によって亢進するエネルギー消費量の7080%に当たります。これは水分1mlの蒸発で0.58kcalの熱が奪われるので、比熱が0.83の人体では、体重70kgの場合、計算上では100mlの汗をかけば、1℃体温を下げることができるということになります。

 

・水分摂取とパフォーマンスの関係

一般に体内の水分の減少が体重の3%を超えると、パフォーマンス低下が顕著に見られるようになると言われています。また、喉の渇きは水分摂取の必要性を知る指標にはなりません。この時点ですでに体重の1~4%の水分が失われていて、すでにパォーマンスの低下が始まっているからです。

 

このように水分補給は脱水や熱中症の予防、パフォーマンスの維持のためにも非常に重要なことが良くわかるかと思います。

 

運動強度別の水分摂取量

運動強度

水分摂取目安

VOmax

持続時間

競技前

競技中

75100

1時間以内

250500ml

500ml~1L

5090

1~3時間

250500ml

500ml~1L/1時間

(表1:川原貴、森本武利、1995

この表を見てわかるように、競技前・競技中共に相当な量の水分が必要なことがわかります。

 

・理想的な水分の温度

摂取する水分の水温は吸収率を考えると5~13℃が理想的です。要するに冷えた、飲み物が良いということです。

 

     理想的な1回摂取量

1回における摂取量は150ml程度が望ましいとされています。1度に多量の水分を摂取しても、身体には吸収されず尿として排出されてしまうだけなので、コップ1杯を数回に分けて摂取するようにしましょう。

 

練習中、試合中何をいつ飲んだら良いか?

ラグビーやサッカーなどのボールスポーツは表1の2段目(VO2max5090%)にあたります。摂取タイミングは練習メニューが変わるごとに100ml~200mlぐらいずつ摂取するのがベストだと思います。だいたい1520分に1回の頻度です。

飲み物の中身ですが、早稲田大学ラグビー部では、練習中も試合中も同じもの、スポーツドリンクを3倍に薄めたものと水の2種類を用意しています。夏場は氷を入れて吸収を早める努力もしています。QLD Redsでも同じく、水と薄めたスポーツドリンクの2種類を準備しています。

しかし、5℃まで水温を下げてしまうとお腹をくだしてしまう体質の選手もいるので10℃前後が最適ではないかと思います。

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また、試合後のクールダウン時には100%のオレンジジュースを必ず飲むようにしています。オレンジジュースにはクエン酸が含まれており、筋疲労の軽減を促進する作用あるからです。これは手軽にできるので是非やってみてください。疲れを感じた時にも有効です。

 

 

水分摂取の方法例

・ウォーターローディング

 ウォーターローディングは順天堂大学助教授の高岡氏が提唱しているスポーツ選手に水分を計画的に摂取させることで、疲労回復を早め、試合中の運動能力の低下を防ごうとするものです。

具体的な水分摂取の方法としては、試合の前日に1日に1L~2Lの水を数回に分けて摂取します。およそ250ml300ml30分~2時間ぐらいのインターバルをあけて摂取します。必ず水で行わないといけないというわけではありませんが、ミネラルも同時に蓄えるという意味でミネラルウォーター・果糖入りのスポーツドリンクで行うことが理想的だと思われます。

ミネラルウォーターでウォーターローディングすることで、水分と同時にカルシウムやカリウムやマグネシウムを体内に蓄えることができ、これがこむら返りの予防につながると考えられています。特にミネラル分の一つであるカルシウムが低下すると、筋痙攣を誘発します。カルシウムは1日に600mg必要です。特に発汗、喫煙、飲酒などで消失しまうので、スポーツ前には意図的な補給が必要です。

 

ウォーターローディングの際に摂取する水分の水温ですが、多量を摂取するので胃への負担を考えると常温~13℃ぐらいの少し冷たいと思える水温が理想的です(スポーツ時より少し高め)。その際、カフェインを含む飲み物やアルコールを同時に摂取してしまうと、利尿作用があるため、体内に水分を蓄えることが出来ず効果がみられません。

 

カーボローディングと同時に行うとさらに体内水分量を増加させるとも言われています。42kmを3時間で走るマラソンランナーでカーボローディングとウォーターローディングを同時に行うことで平均9分のロスを防げると言われています。ウォーターローディングは、このようにパフォーマンス向上に効果があることが見て取れます。

 

・実践具体例

私が現在、仕事をさせてもらっている、Super14 QR QLD Redsでは試合前日から、各自選手に水を相当量(12L)飲むように指示が出ます。試合5時間前に行われる、軽い練習終了の際に水600ml、スポーツドリンク600mlが渡され、試合までに飲みきります。さらにPre-Match Meal(試合前の食事)時にも、水とスポーツドリンクのボトルが用意されており、選手たちはそれを自由に持っていき、さらに飲んでいます。

 

さらに試合後にも水600ml、スポーツドリンク600ml、プロテインシェイクが渡され、それを飲みきります。試合中に失った水分の補給と、ダメージを受けた筋などの再生を促すたんぱく質の摂取が行われています。

 

試合中・練習中の飲み物の準備は私の仕事です。

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私は練習中に飲む水の水温にも気をつけています。スポーツドリンクと水は練習前日にガロンタンクに準備し、ガロンタンクごと冷蔵庫に入れ10℃前後の水温の水を選手たちが飲めるように準備しています。

ガロンタンクの大きさは10ガロン(約40L)です。それを業務用の冷蔵庫に入れて冷やしています。

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 私がいるオーストラリアQLD州は亜熱帯に位置し、日本に比べると温暖です。練習中もいつでも、選手たちが水分摂取出来るよう選手たちといっしょにウォーターボトルを持って移動しています。

大体、1回の練習でスポーツドリンクが40L、水が40L(身体にかけている分も含む)を合計80Lぐらいの水を消費します。

 

参考文献

コーチングクリニック.ベースボールマガジン社:2002.8

トレーニングジャーナル.ブックハウスHD.2002.8

臨床スポーツ医学.2001.3

小林修平.スポーツ指導者のためのスポーツ栄養学.南江堂

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