
■グラサントレーナー“Roo(ルー)”とは…?
早大ラグビー部佐々木組の学生トレーナーとして、早大の大学選手権連覇、日本選手権でのトヨタ自動車戦勝利に貢献。卒業後、南半球へと旅立ち、現在はオーストラリアの某強豪プロチームで修行を続けるさすらいのトレーナー。トレードマークはサングラス。
本人によるブログは(http://gurasantr.exblog.jp/)。
※“Roo”のスポーツクリ
ニック」についてご意見・ご感想はこちらへどうぞ
お問い合わせ先 rugbycolum@wasedaclub.com
“Roo”のスポーツクリニック
Vol.34 身体の発育・発達に合わせたスポーツの指導方法とは?投稿日時:2009/03/21(土) 21:21
Vol.34 身体の発育・発達に合わせたスポーツの指導方法とは?
成長期の子供の身体は急激な変化が起こっており、子供のスポーツ活動に関わる者はそれらの知識を有している必要があります。残念ながら、子供の発育・発達に則したコーチングの方法が確立されている種目はサッカーなどごく一部に限られてしまっている現状があります。従って、子供の身体には負荷が強すぎるスポーツ指導がされてしまっているケースも多くあります。
今後取り上げていこうと思いますが、リトルリーグ肘・肩、オスグッドシュラッター病など成長期の子供たち特有のスポーツ外傷・障害は間違った強度のスポーツ活動が行われてしまっている現われです。正しい知識を持っていれば、これらは最低限に防ぐ事が出来ます。
また、成長期の子供たちは外見上の身体の発育・発達だけでなく、精神的にも大人への階段を一段ずつ上がっています。それらにも配慮して、子供たちに接していく必要もあるのです。これらの特徴はある程度期分けをする事が出来、安全で最適なスポーツ活動を提供する事が出来るのです。
今回は、成長期の子供たちの発育・発達過程に注目して、スポーツにおけるコーチングの一つの考え方を示したいと思います。
・技術(スキル)習得
技術(スキル)の習得は脳(小脳)と密接な関係があることが分かってきています。すなわち、技術の習得は新たな神経回路の形成ですから、脳・神経系の成長が高い時の方がスムースに技術習得が出来るのです。

図1:運動能力や体力はいつ発達するのか(宮下,1980)

図2:スキャモンの発育・発達曲線
・ ゴールデンエイジとは
ゴールデンエイジという言葉を耳にした事がある人が多いと思います。
それは小学校の4年生~6年生ぐらいの時期のことで、その大脳の可塑性が比較的高く、また動作習得のための条件もピークを迎え、双方が絶妙なハーモニーを奏でるゴールデンエイジが重要視されています。
それは、動きを頭で理解してから体に伝えるのではなく、見たまま感じたままのイメージに従って体全体で技術を吸収していく特別な時期と言われているためです。そのために、この時期以前(プレ・ゴールデンエイジ)に様々な運動・遊びを通じて、神経回路を活性化し、準備をしておく事が条件と言われています。
(1) プレゴールデンエイジ(~8・9歳頃) ~ スポーツの楽しさを伝える ~
神経回路が急ピッチで伸びている時期です。運動能力の基礎は、この年代で形成されます。従って、この年代の子供達には特定のスポーツだけでなく、色々な遊びを経験させ、ボールに触れることの楽しさや身体を動かすことの喜びを教えて、「動く事が好き」という状態で次のステージへと送り出す事が理想的です。この年代にとって、大人が分析し系統立てた課題を練習する「専門的練習」は、百害あって一利なしです。
この時期の子供は、楽しそうなこと、興味のあることには夢中になりますが、おもしろくないと感じればすぐにやめてしまう特徴を持っています。指導者は、子供達が飽きない練習内容や練習の進め方を工夫する必要があります。つまり、子供達がその時に興味を示したこと、楽しんでいることを大切にしながら、自主性を損なわせないように練習を行うことが重要です。ボールを使った鬼ごっこやラグビーボールでサッカーをしたり、様々な遊びや多面的な活動、みんながたくさんボールに触れられるようにスモールグリットでのミニゲームなどを行っていくのも良いでしょう。
現代っ子の運動力の低下が叫ばれていますが、ゲーム機の発達などにより昔に比べてこの年代に外で走り回って遊ぶ時間の減少が大きいと考えられています。
(2) ゴールデンエイジ(9~12歳頃) ~ 実践的な技術の定義 ~
神経系の発達がほぼ完成に近づき、形成的にもやや安定した時期です。従って、動きの巧みさを身につけるのにもっとも適しています。この時期は一生に一度だけ訪れる、あらゆる物事を短時間で覚えることのできる「即座の習得」を備えた時期(ゴールデンエイジ/Golden Age)と言われるのもそのためです。また、精神面でも自我の芽生えとともに、競争心が旺盛になってくる時期でもあります。
また、指導者は子供達に、状況判断や戦術など絶えず考えながらスポーツに取り組める選手になるために必要な要素(状況判断)を必要とするようなメニューを練習に取り入れるべきです。
さらに「各専門種目の基本」を身につけさせることを心がけましょう。この時期に身に付けた「基本」は将来のスポーツに基盤となります。すべての競技に共通している正しい走り方などを指導出来れば理想的です。
「ゴールデンエイジ」と呼ばれるこの時期には、プロが見せるような高度なテクニックも身につけることが可能です。一度習得した技術は大人になってからもずっと身についています。従って、この時期に多くの技術を学ばせることが重要です。つまり、基本と高度な技術の療法をこの時期に身に付けるべきなのです。
しかし、この時期はまだ、筋肉が未発達なため、強さや速さに対する体の準備はできていません。従って、スピードや力強さを要求するのではなく、大人になっても必ず残る財産ともいえる「技術(スキル)」のみを身につけさせるよう心がけましょう。
(3) ポストゴールデンエイジ(13歳頃以降) ~ より個人に目を向けた指導 ~
骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、身体のバランスが今までとは異なってきます。そのために感覚が狂い、習得した技術が一時的にできなくなったり、上達に時間がかかることがこの時期ではよく見られます。このことを「クラムジー(Clumsy)」と呼びます。また、自尊心が強くなるこの時期では明確な指導のポイントがあります。
① 新しい技術の習得よりも、今まで身につけた技術・習得を実戦状況の中でも発揮できるように指導する。
② 性ホルモンの分泌が著しくなり、男子の場合筋肉の発達が促される時期なのため、これまで身につけた技術をより速く、より強く発揮できるよう指導しましょう。その際に出来るまでの回数や時間が短くなるように課題を与えるのも効果的です。
③ この時期になると戦術的なことも理解できるようになります。簡単な戦術練習をおこなったり、ビデオを見ながら戦術的な説明などの指導も効果的です。
④ この頃は、肉体的にも精神的にも非常に不安定な時期であり、指導において特に難しい年代です。「クラムジー」「思春期」「反抗期」についてよく理解し、それぞれの子供にあった指導を心がける必要があります。特にこの頃になると性差がはっきりしてきます。女子は男子よりも早く思春期が始まることも認識しておくべきです。
⑤ 子供達の体格、体力的に差が大きいのもこの時期です。画一的な指導ではなく、一人ひとりを理解し、それぞれに適した指導を心がけるべきです。
(4) インディペンデントエイジ(15~16歳以降)
クラムジーが終わると、自立のための準備期になります。この時期には、精神的にも肉体的にもバランスがとれるようになり、それまで身につけたスポーツの「基本」を土台として、さらにその上に自らの個性を発揮できるようになるのです。次のようなことが指導のポイントになります。
① 筋肉の発達はこの時期から17~18歳にかけて急激に向上するため、13歳以降の基本技術の反復トレーニングに加え、筋力トレーニングが可能になります。ただし、個人差が大きいので、専門家の指導を受けるべきです。
② この時期になる選手個々の特徴(得意・不得意など)が明確化します。自己の特徴をよく知り、それを伸ばすようなポジティブなコーチングが選手の成長を促します。
③ 能力に応じた環境の提供が必要です。
注意点
もちろんここにあげた年齢はカレンダー年齢であり、成長の度合を加減したバイオ年齢では前後合わせて4歳の幅をもたせて考えるべきです。それだけ、子供たちは個人差があります。
参考文献
図1:財団法人日本体育協会.アスレティックトレーナー教本(Ⅱ).2004
図2:市川宣恭.スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害.南江堂.1987

■グラサントレーナー“Roo(ルー)”とは…?
早大ラグビー部佐々木組の学生トレーナーとして、早大の大学選手権連覇、日本選手権でのトヨタ自動車戦勝利に貢献。卒業後、南半球へと旅立ち、現在はオーストラリアの某強豪プロチームで修行を続けるさすらいのトレーナー。トレードマークはサングラス。
本人によるブログは(http://gurasantr.exblog.jp/)。
※“Roo”のスポーツクリ
ニック」についてご意見・ご感想はこちらへどうぞ
お問い合わせ先 rugbycolum@wasedaclub.com
























