ラグビー

  • ラグビー
  • 早稲田大学ラグビー蹴球部
  • シニアチーム
  • レディースチーム
  • スクール情報
  • ニュース・コラム
  • 楕円球コラム
  • 楕円球コラム~Extra~
  • Wonderful Rugby
  • “Roo”のスポーツクリニック

roo.jpg

■グラサントレーナー“Roo(ルー)”とは…?

早大ラグビー部佐々木組の学生トレーナーとして、早大の大学選手権連覇、日本選手権でのトヨタ自動車戦勝利に貢献。卒業後、南半球へと旅立ち、現在はオーストラリアの某強豪プロチームで修行を続けるさすらいのトレーナー。トレードマークはサングラス。

本人によるブログは(http://gurasantr.exblog.jp/)。

※“Roo”のスポーツクリ ニック」についてご意見・ご感想はこちらへどうぞ
お問い合わせ先 rugbycolum@wasedaclub.com

“Roo”のスポーツクリニック

Vol.38 アスリートの食生活(疲労回復に注目した炭水化物摂取について)投稿日時:2009/07/19(日) 16:31rss.gif

 Vol.38 アスリートの食生活  ~疲労回復に注目した炭水化物摂取について~  

 

1.              炭水化物とは 

 

   炭水化物はヒトの主要なエネルギー源であり、グルコース・フルクトース・ガラクトースなどの単糖や二糖類から成る糖類、310個の単糖からなるオリゴ糖類・でんぷん及び非でんぷん性の多糖類から構成されています。近年、日本人の炭水化物摂取量は減少してきていますが、総エネルギー比率の約58%が炭水化物であり、欧米人の4050%と比較しても炭水化物摂取量は依然高いのが現状です。また、栄養学的には各種炭水化物摂取量は総エネルギーの少なくとも55%以上であることが推奨されています。 

 

   炭水化物は小腸で単糖まで消化されて吸収される二糖類やでんぷんなどの易消化・吸収性炭水化物と大腸に達して腸内細菌により発酵を受け吸収利用される難消化・吸収性炭水化物に大別されています[1] 

 

2.              運動前(試合前)の炭水化物摂取 

 

   アスリートは試合で良いパフォーマンスを発揮しエネルギー欠乏にならないために意図的に試合前に体内のエネルギー量を多く蓄えようとします。従って、試合前の食事は炭水化物の比率が極端に高くなる傾向があります。 

 

    また、その代表的な食事方法として「グリコーゲンローディング」が挙げられます。これは筋グリコーゲンレベル(筋肉内のエネルギー)を通常より高める食事法で、特に持久系種目(マラソンなど)で有効であると言われています。 

   その方法は試合1週間前に疲労困憊運動を行い、筋グリコーゲンを枯渇させ、その後3日間は高タンパク質・高脂肪食をとり、4日目以降は高糖質食をとる古典的な方法と、前半3日間は普通食、後半は高糖質食で、1週間のトレーニングは質・量ともに減少させる改良型の2種類があります(図1)。効果に大きな差がない事から、近年では改良型が好んで実施されています[2]

しかし、極端なグリコーゲンローディングはコンディショニングに悪影響を及ぼす可能性も強く、計画性をもって管理栄養士など専門家に相談しながら、慎重に実施すべきです。

3.              運動中の炭水化物摂取 

 運動中の炭水化物摂取は主に水分摂取と同時に行われるのが一般的です。特にマラソンなどの持久系種目では、水分補給用にはグルコース、エネルギー補給用にはマルトデキストリンを多く用いられています。理由として、エネルギーを高める際グルコースのように分子の小さい糖を用いるとドリンクの浸透圧が体液より高くなり、せっかく飲んでも胃に溜まってしまう事が危惧されています。それに対してマルトデキストリンはコーンスターチの分解物であるため、浸透圧を低く抑えることが出来、エネルギー吸収の早いドリンクを作る事が出来ます。 

 また、球技においても試合時間は1時間を超え、後半は筋グリコーゲンの枯渇状態になります。従って、ハーフタイムでの水分摂取に伴うエネルギー補給が非常に重要です。明治製菓の研究ではサッカーに模した運動強度でのプラセボ・果糖・マルトデキストリンの3条件での持久的運動・インターバル運動を実施し、その効果を検証しておりマルトデキストリン摂取の有効性を述べています[3](図2)。

従って、持久的運動中やインターバル運動中のエネルギー摂取はマルトデキストリンなどのコーンスターチ由来の糖類が現在は好まれて使われています。

4.              運動後の炭水化物摂取 

    運動後の筋グリコーゲンを翌日までに回復させようとすると高糖質食(60%以上)でないと難しい事が1980年のCostillらの先行研究によって明らかになっています(図3)。

また、運動後の筋グリコーゲンの回復を速めるために吸収の速いマルトデキストリンを運動2時間後に摂取するよりも、運動直後に摂取した方が筋グリコーゲンの回復早い事が1988年のIvyらの研究より分かっています。加えて、たんぱく質も大塚製薬のイヌを使った実験で炭水化物と同様な結果が得られた事から[4]、運動直後の疲労回復には高糖質・高たんぱくの栄養摂取が効果的であることが言われています。従って、多くの疲労回復を目的としたプロテインはCostillらの考えを元にエネルギーを多く含んだものを開発され、運動直後に摂取する事が推奨されています。 

 

 しかしながら、試合後の選手は胃腸も疲労しており、食欲はそれほど高くない。従って、少量で効率的にエネルギー摂取が出来るように工夫をする必要があります。 

 

 私が働いていたオーストラリアにプロのラグビーチームでは試合直後にプロテインシェイク600mmlとピザとサンドイッチを準備していた。ピザは脂質も多く含み、普段では食事制限で禁止されている食品であるが、試合後のみ疲労回復を促進する高糖質食として食べる事が許されていた。普段食べられない反動で、選手たちが本当によく食べてくれました。 

 

 また、疲労回復の焦点をあてると、試合前の食事は炭水化物中心の食事になっているので、たんぱく質やミネラルが不足気味になりやすい傾向にあります。従って、前日の偏りを整える意味でも、試合翌日の朝食は卵・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品を積極的に食べておくべきです。

 少し難しくなってしまいましたが、アスリートに必須の炭水化物についてまとめてみました。 

5.              参考文献 

1. 臨床スポーツ医学編集委員会: 臨床スポーツ医学 臨時増刊号 スポーツ医科学キーワード: 文光堂, 1999.

2. 古旗照美: 競技特性別にみた栄養サポート パフォーマンスを最大限に発揮する競技. 臨床栄養 2008; 113(7): 835-840.

3. 杉浦克己: 開発に関連する研究者の立場から 糖質・クレアチン. 臨床スポーツ医学 2002; 19(10): 1157-1160.

4. 土居達也: 開発に関連する研究者の立場から プロテイン. 臨床スポーツ医学 2002; 19(10): 1153-1156.

 

13:文献2より引用 

2 :文献3より引用

 

 

ラグビー

  • ラグビー
  • 早稲田大学ラグビー蹴球部
  • シニアチーム
  • レディースチーム
  • スクール情報
  • ニュース・コラム
  • 楕円球コラム
  • 楕円球コラム~Extra~
  • Wonderful Rugby
  • “Roo”のスポーツクリニック

roo.jpg

■グラサントレーナー“Roo(ルー)”とは…?

早大ラグビー部佐々木組の学生トレーナーとして、早大の大学選手権連覇、日本選手権でのトヨタ自動車戦勝利に貢献。卒業後、南半球へと旅立ち、現在はオーストラリアの某強豪プロチームで修行を続けるさすらいのトレーナー。トレードマークはサングラス。

本人によるブログは(http://gurasantr.exblog.jp/)。

※“Roo”のスポーツクリ ニック」についてご意見・ご感想はこちらへどうぞ
お問い合わせ先 rugbycolum@wasedaclub.com

  • 北信越支部
  • 関西支部