後藤禎和 『緊張・継承・創造』

Vol.17 『規律と集中力』、そして賢さ―投稿日時:2013/09/03(火) 21:45

 




 8.25 vs帝京大、24-39。この夏の集大成、ここで決まる!の想いで臨んだ今季2度目の対戦は、改めてワセダの進むべき道を、ハッキリと示すものだった。




 「秋なのか冬なのか分からないけれど、残された時間で十分手の届くところまで来ている。ただし、残りの時間、特に9月の一カ月で、相当努力してやるべきことをやるのが大前提。その上の話にはなるけれど、必ず手の届く力はつけている」…。




 浮かび上がってくる言葉は、『規律と集中力』、そして賢さ―

 





後藤禎和 『緊張・継承・創造 Vol.17』

編集・疋田拡



 



―まずは、夏合宿を終えての思いから








  ベタな言い方をすれば、充実した集中したいい3週間だったかな








―やろうと考えていたことはできたと







 んー、元々テーマが『規律と集中力』という漠然とした、じゃあ具体的にどのプレーが?というところもあったからね。この切り取った部分を強化!というのとは少し違ったから、表現するのは難しいんだけど…チームとして改善できた部分は多々あったというところかな。でも、総じて求めているレベルからいったらまだまだと言わざるを得ない








―もっとも力を入れて取り組んだのは、体作りになるのでしょうか







  いや、基本的に合宿中に増やすのは、ワセダの場合は難しいからね。重点強化項目としては、『規律と集中力』のところ以外に5つを挙げていた。スクラムであったり、アタックの精度向上であったり


 






―アタックに関しては、これまでより時間を割いたように感じます。合宿終盤でのチームアタックなどを見ていると、かなりよくなっていました







 春の段階でディフェンスはあるレベルにまで到達したと見込んだので、時間配分としては、アタックの方にやや置いたと言えるかもしれないね








―合宿のテーマ・『規律と集中力』の持つ意味は。当初から夏はこれ!と決めていたのか、春の戦いを見て、決めたのか








  春最後の帝京大戦を踏まえて、この相手に勝つためには~と、このテーマに決めた








―今回の帝京大戦も、この部分で負けたと言われていましたが、ディシプリンが乱れてしまう現象はどう見ているのでしょう







  やっぱり相手のプレッシャーに負けて、余裕がなくなってしまうからだろうね。直後の流経大戦と比べてみて、そのことが改めてよく分かった







―8月25日の帝京大戦を今一度、言葉にして頂くと







  流れ的には、春と同じようにはなったんだけど…ちょっと想定外ではあったかな。ひとつには、アタックが思っていた以上に通用した。その逆で、ディフェンスでもう少し堪えられるだろうなと思っていたところで、いかれてしまった。そこは仕上げ方の差で、あの時点では帝京大の方がいいコンディションで来たということと、帝京大はそこのアタックのところに恐らく特化して練習してきていた


 






―『規律と集中力』、そしてクレバーさで負けた、というところをもう少し掘り下げると…







  規律の部分は、当然簡単にペナルティを犯してしまうようなところだし、集中力に関しては、こぼれ球への反応、あるいは春の前半最後のようにボーっとしてサインミスしてしまうとか。夏の帝京大戦が終わったときに、それプラス、クレバーという言葉を付け加えたんだけど、集中して規律高く守って取り返したボールをクレバーに賢く、敵陣に運ぶという部分が必要になってくるなと








―勝つべきゲームだった、との思いはありますか






 いやいや、あれではまだまだ







―この夏、帝京大に挑むに当たっての学生たちのことはメンタル含め、どう映っていたのでしょう。春にある程度戦えた上で迎えた一戦







  どうなんだろうなぁ…。春にやるときよりは、感触を持って臨んでいたとは思うけどね。俺自身はあまり変わらなかったけど(笑)








―今回も、春と焦点は変わらないと言われていました。その観点からいくと…







  まぁ、もうちょっと積み上げないと…。というより、もうちょっと積み上げて、ここの差を詰めることができれば、もっともっと精神的に楽に臨めて、余裕をもった試合運びができるだろうと思う







―80分戦えたのか、春と比べたときにはどうなのか







  ベストメンバーではなかったという点を差っ引いてどうなのかなぁ…。やっぱり、まだまだだろうね








―39失点については






  半分以上は規律の部分。そのうちの3つは、規律とクレバーさでどうにかできたものだね。例え同じような試合展開になったとしても









―バッツバツ刺さっていた春に比べると、タックルにいけてなかったように映りましたが、これは相手が整備してきたことが大きな要因?






 だろうね







―最終的には、ボール前で寄りきられるトライがほとんどでした。そこに至るまでの問題はあるにしろ、課題になるかと思います






  まぁ、もうちょっと粘りたいよね。特に、一回外されてそのままスコーンというのは、失くさないといけない


 





―春ある程度積み上げられた部分、大枠は崩れていないと見ていいのでしょうか







  テクニカルに改善しなくてはいけない部分、帝京のあのアタックを止めるには~というところには、これまでにプラスして、試合の翌日から取り組んでいます。それでもやっぱり、技術的なところ+フィジカル、体の部分が必要になってくるということで、両方を残された時間でさらに積み上げていかないといけない









―不用意なペナルティ、余計なペナルティをして、崩れてしまうのは、自信がないから?







  んー、自信だろうな。そんなギリギリのプレーをしなくても、絶対に止め切れるはずなのに、その自信がないから、結果ペナルティを犯してしまう








―他に自陣に戻されるシチュエーションとしては、キックカウンターが目立ちました。チェイスが未整備で甘いのか、そもそものキックの精度なのか…








 もちろん、どんなキックでも反応して追わなくてはいけないんだけど、キックオプションの選択と、その蹴るまでの過程に問題がある









―先ほど言われたクレバーさに繋がってくると





  そうだね







―アタックに関する手応えは。いい仕掛けと継続で、相手を崩すシーンも多々見られました







  よくはなってるんじゃないかな(笑)。帝京大戦だけではなく、その後の流経大戦を見ても、いいシーンがたくさんあったから。でも、最後の最後には、そんなに簡単には取れないと思うからね








―何がよくなったのかと問われたら







  セットから始まって、2次3次くらいまでは普通にできるんだけど、春にダメだったのは、最初に準備したプレーが終わった後、あるいは誰かが抜けた後のセットの準備、次への予測が全然できていなかった点。この夏合宿で、その部分が徐々に出来てきているのかなと







―競った展開のなかで、帝京大相手に4トライ。スコアだけを見たら、考えうる最良のところまできている?






  24点だったら、まぁそうかな








―ここから勝つには、ディフェンス力の向上がポイントになるのでしょうか?それとも、これだけスコアできるなら、ボールキープの時間を増やして、攻める時間を長くして~が近道なのか







  帝京大相手に、ボールを持ち続けることはできないから、むしろエリアの問題になってくる。中盤より敵陣でゲームを進める。たとえ、それがディフェンスシチュエーションであったとしても、自陣ゴール前まで攻め込ませない。アタックする時間は短くとも、中盤以降のエリアで守り続ける



 







―ブレイクダウンの感触は。アタックでは、過程がうまくいかなかったようなシチュエーションでも、滞ることなく球を出せるようになった印象があります








 簡単にめくられたりということはなくなってきているよね。ただ、ディフェンスブレイクダウンに関しては、帝京大が春から対策を練ってやってきた。それに対して、今度はうちが更に対抗していかなくてはならない。今回に関しては、完全に向こうにやられたという感じだね








―最後の15分、勝負を分けた時間帯についてはどう見ているのでしょう。例えば、メンタルのフィトネスが足りない、とか







  あの時間帯がどうこうではなくて、基本的には前半と一緒なんだよね。中盤で簡単にペナルティして、自陣に攻め込まれて、相手ラインアウトを取っても安易にはたいてそれを拾われて~とか、やっていることは一緒









―スクラムは勝っていたのではないでしょうか







  と、いうことにしておきましょう(笑)。新ルールに関しては、レフリーによってまちまちになるのかなという印象。それでも、これまでと大きくスクラムが変わるという感じはないかな








―春の対戦とゲームの様相が変わっていたように思うのですが…







  そのとおりだね。恐らく、春のときの帝京は、Aもそうだし、下のチームも、あまりワセダ戦だから~というのはなかったと感じた。でも、今回は、少なくとも夏合宿のターゲットゲームにして、もってきたはずだから。そんな相手に対して、きっちり勝ちにきた相手に対して、取られすぎの面はあったけれど、60分超は勝負に持ちこむことができた







―スコアだけを見ると、差は広がりましたが、その実どう見ているのでしょう







  俺のなかでは…差が開いたとも思わないし、縮まったとも思わない。そんなところで(笑)








―帝京大のイメージは変わりませんか







  昨年の推移と比べると、さっきの繰り返しにもなるけど、割と夏に仕上げてきたなという感じは受けた。7月ずっとトップリーグに行っていたという話も聞こえてくるし、その成果なのか…








―下のチームもスイープされてしまいました。ここの受け止め方は







  CDは…しんどかったかな。帝京大も体を大きくして、整備して、勝ちにきていた。Bもしんどいといえば、しんどいメンバー繰りだったんだけど、そのなかでギリギリの勝負ができたのは、収穫だと思う








―帝京大戦の後、学生たちにはどんなメッセージを送ったのでしょう







 上から下まで、秋なのか冬なのか分からないけれど、残された時間で十分手の届くところまで来ている。ただし、残りの時間、特に9月の一カ月で、相当努力してやるべきことをやるのが大前提、その上の話にはなるけど、必ず手の届く力はつけてると。表現は違うけど、そんな感じかな



 






―今回の負けの持つ意味は。今後に向けて~のところで







  そこは変わらないんじゃないかな。この程度の試合で勝ってしまうよりは、あのくらいでいいんじゃないかって。負け惜しみに聞こえちゃうけど…









―その後すぐにあった流経大戦はどう映ったのでしょう。なかなか経験したことのない、難しいシチュエーションであったと思います







  本当は、前半に獲るべきところで獲っておかなければいけなかったし、ミスからあっさり切り返されてと、取られ方もよくなかったんだけど、全体としては、ペナルティがすごく少なくて、敵陣でたくさんできて、後半相手の足の止まったところで突き放す。試合展開としては理想だったのかなと








―帝京大戦後、学生たちに変化を感じたりはあったのでしょうか。自信持ったでも、より気合い入ったでも







 いやぁ、やっぱりこの合宿で唯一集中力が落ちていたなと感じたのが、流経大戦の先日、1日2日前だったかなぁ…









―帝京大戦では、リザーブメンバーもたくさん使って~と口にされていましたが、この意図は







  時間制限があったからね。ケガ明けの選手には、出場時間制限があった。それだけのこと(笑)








―この夏伸びたなぁと感じる選手はいますか








 春との比較論で言えば、滝沢(FB)が復調してきた。あとは、黒木が…がんばっていたんじゃないかな、それなりに。他には、清水(フッカー)もよかったね








―この夏チームとして得られたもの、変われたことは







 実際に見えるのは、シーズン深まってからだから、説得力がないんだけど…ある程度ハードな時間を集中してやりきったこと、やりきれたこと。そのこと自体かな。説得力はないかもしれないけど、そこへの確信はある








―フランカー布巻峻介は期待どおりですか







  特にディフェンシブな局面ではすごく頼りになるね。ひとりでボールを取り返してきてくれるし。あいつの特性がより生きていると、俺は思ってる








―9月に今一度体を作って~と言われていましが、いよいよ始まるシーズンとの兼ね合いは







 まぁ、それでも月末の筑波大戦に関しては、それなりに仕上げて臨むつもりです









―やっぱり気になりますか、筑波大







  気になるというより、昨年から負けっぱなしでいられるか!というところ。前半の、帝京大戦前の大きな山になることは間違いない



 







―夏を終えて、垣永真之介のチームはこうやって勝つ!見えてきたのでしょうか







 帝京大をメインターゲットにしてきたなかで…11月もそうだし、準決勝なのか決勝なのか、国立でやるときも同じような展開に絶対なるから、粘って、守って、一発で獲りきるしかないと思っている。そこはチーム作りを始めたときのコンセプトと変わらない







―いよいよシーズンです







  昨年の今頃何て言ったかな?(笑) 気持ち的には昨年とそんなに変わらない









―ここで改めて、ワセダが勝つために必要なこと







  一緒だな。規律と集中力とクレバーさ、賢さ。それが試合や練習だけではなくて、私生活も含めて、意識して過ごすことじゃないかな









―最後に、『早明戦プロジェクト』の概要も発表されました。ここに込めた想いを







 このプロジェクトの趣旨自体が、今までラグビーを見に来なかった人を引っ張りこもうというものだから、メインターゲットは一般学生。そんな人たちに対して、『早明戦』のときだけでなく、序盤戦から色々と呼びかけをしていくことになると思います。まずは来てもらって、あまり捉われを持たないで、ラグビーを楽しんでもらいたい。そして、対抗戦の最後に国立が一杯になって、見てる方も、やっている方も、試合が終わってからも(笑)、誰もが楽しくて感動できる一日にできればと思っています




<ワセダクラブ事務所にて 夏合宿を終えて>

 

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