WURFC2013『 Independence Day 』

Vol.2 伊藤平一郎 責任と克己、得るべき信頼―投稿日時:2012/05/07(月) 22:51

 


  ルーキーイヤーからチームの最前線で常に体を張り続けてきた縁の下の力持ち。子供心くすぐるそのキャラクターで誰からも「愛されてきた男」は今、「信頼される男」に飛躍すべく、克己の日々を過ごしている。


 「今やるべきことを信じて、貫いて、圧倒的な力をつける。誰からも頼られるプレーヤーになりたい。今年は大きな責任というものを感じています」…。投げて、押して、走って、倒す。そこに見える覚悟。今年の「ヘーイチ」は一味違う―


 

WURFC2012 『 Independence day Vol.2 』 伊藤平一郎


編集・疋田拡


 

―ゴールデンウィーク、いかがでしたか



  もう充実のひとことです(笑)。練習の密度が濃かったですし、かなり走ったので



―基本2部練の毎日。ここまでで一番の強度だったのでは



  とは言っても、めちゃくちゃに練習したという訳ではないので。午前はユニット、もしくはウエートで、午後はチーム練というようにメリハリがありました。たしかにフィットネスはきつかったですけど(笑)



―監督からの要求はかなり高かった?



  どうなんでしょう。それなりのレベルは求められていたと思います



―ゴールデンウィークの取り組みを言葉にすると



  これまでのフィードバックをして、今一度やってきたことのおさらいをしながら、新たな部分にも手をつけたという感じです
 



―関東戦後、チームに流れる空気は



  空気はすごくいいですね。関東戦を終えてから、ひとりひとりが以前よりもしっかりしゃべれるようになってきたイメージです



―あのゲームの後、学生間ではどんな話を



  次のメイジ戦(13日@熊谷)が勝負だよねって。そこでいい戦いができるかどうか。次もしっかりと力を出せたら、さらにいい方向に進んでいけるのではと感じています



―関東学院のことは意識していた?



  ムチャクチャ意識してましたね。昨年のあの敗戦は忘れられませんから…。後藤さんからも、ここでやらないと関東と戦える日は一生来ないかもしれないよ、ここで戦きのめしておかないとお前ら一生悔いが残るぞと言われてましたし



―迎えるにあたってはどんな心境だった?緊張、不安、自信…



  僕個人としては、緊張や不安というのはまったくなくて、楽しみで仕方なかったです




―内容を振り返ると



  個人的には、もっともっとプレー回数を増やしたい、増やさなければいけないと感じましたし、チームとしても、セットだったり、もっと走れていたらなと。スコア的にはよかったですけど、うまくいっていないところが多々あったという感じです



―二大テーマのひとつ、先手必勝については



  アップのやり方も変わって、入りのところはものすごく意識していたんですけど、うまくいかず…。空回りしてしまったのか分からないですけど、相手に気持ちよく前に出られてしまいました。大きな反省のひとつです



―もうひとつの数で勝つ。ここは前5次第で大きく変わってくる部分だと思うけど…



  関東戦で一番できていなかったのは、その部分です。練習からいい形でできていないところもあって…。ただ、まだチーム練習を始めて1カ月だから~の面もあると思いますし、試合を重ねていくうちに理解も深まって、よくなっていくはずです
 



―もう一点、後藤監督が「迷いなく~」という話をされるけど、実際にプレーする側の感覚は



  戦い方やプレーに、迷いはまったくなかったですね。他のみんなもそうだったはずです。とにかくやるべきことをしっかりやる。今はその何をやるべきかも明確になっていますし、まずはいい形で臨めていると思います



―スクラムはゲームの流れを決定づけた大きなポイントだった



  まぁまぁよかったとは思いますけど、どうなんでしょう…。同じことがメイジや帝京相手にできたら完璧なんでしょうけど、そこはまだ分かりません。でも、いい形であったことは間違いないです。ひとりひとりの体重アップの成果もあって、重さも乗っていましたし



―よく強大な相手と対戦すると、ヒットで勝っても、後ろの重さで戻されて~なんて光景が見られたけど…



  今年は組んでいて後ろの重みをしっかりと感じます。かなり変わったと思いますし、そうなると、やっぱり全然違いますよ
 



―後藤監督は、自重、体幹、下半身強化の成果が出て、低さをキープできるようになったのが大きいと言われてた



  確かに関東戦に関しては、その点もよくできていた感覚はありました。体づくりの成果が見えたというか、しっかり生かせていると思います



―自身も体はかなり変わった?



  僕に関しては、体重はキープです。脂肪をちょっとずつ落とす感じで(笑)。ウエートの数値については、この春でかなり上がりました。ヘビーウエートをして、あとは綱や姿勢で自重トレーニングで鍛えた成果。今年はバランスがいいというか、うまくコントロールできている感じです



―プレー面での変化は感じてたりする?大きな体を手に入れて、実際どうなのかという部分



  僕自身は大きくはなっていないので、何とも(笑)。でも、みな体重が増えながら、フィットネスの数値も上がってますし、姿勢などかなりできるようになっていますし、試合での結果も出たので、いい形できているのかなと



―スクラムのテクニカルな部分での振り返りは



  3番の垣永もしっかり組めていましたし、まずまずだったと思います。1本上田のところでペナルティを取られてしまったのが、もったいなかったですけど
 



―今年のワセダのスクラムは、と問われたら



  トップリーグにも通用するスクラム、です。そこを目指してます。そのためには…、絶対に低く組むことと、8人のまとまり、ヒットスピード。そこは フッカーである僕がしっかりと引っ張っていけるか、まとめていけるかだと思ってます



―今年から就任したフッカー担当・森島さんはどんなコーチ?



  フッキングがものすごくうまいです(笑)。お手本を見せてくれるんですけど、今でも僕なんかより全然、学生の誰よりもうまいのが羨ましくて…。U20でロシアに遠征した際(当時、駐在中)にもお世話になっていましたし、縁があるのかなと



―もっとも強く言われていることは



  練習から、ポジション練習から、常に国立をイメージしてやろうということです。スローイングについては特に。投げ方が変わったとかはないですけど、意識の部分ですね。あとは、フッキングを正確にする重要性についても言われています
 



―スローイングはかなり取り組んでいる?



  森島さんがいらしたときには、見て頂きながら投げ込んでいます。もちろん、いらっしゃらない平日でもひとりでやってるんですけど(笑)。でも、なかなかうまくならなくて…。克服すべき課題です



―昨年ラインアウトのスローイングを任されなかったことについては、何を思ってた?



  もう自分のなかでは踏ん切りはつけていました。自分にできることをやろう、投げない分ランナーとしてしっかり仕事をしようって。もともとボールを持って走るのが好きでしたし。今年はまたスローイングをするようになって、大きな責任を感じながらやっています



―そのスローイング、ファーストゲームでの評価は



  後ろに投げたとき少し合ってない部分があったなと。ラインアウト全体としても、動きのなかでのちょっとしたミスがありました。ラインアウトが自分たちの課題であるという意識は強く持っています



― 一番近くでプレーしてきた上田竜太郎のことはどう見てる?変化を感じる部分だったり



  言葉で引っ張っていくタイプでは絶対にないですけど(笑)、ブレイクダウンとか人の嫌がるところで一番体を張ってくれていると思います。そこに僕たちもついていこうって。キャプテンになったからといって、特に変わったところはないですね。あいつ自身もキャプテンだから~というのはないんじゃないですか(笑)。もちろん、以前より多くをしゃべるようにはなりましたけど。スクラムは相変わらず相当な強さです。今年は一緒にトップリーグを押したいと思ってます
 



―その前にまず大学で一番になることが至上命題。各大学のスクラムはどう見てる?



  帝京やメイジは強くて重いです。組方に特徴があるというより、全体的に重くて強い。それに対して、慶應などは重くはないけど、その分早い。今年は重さも手に入れたので、強さ、重さ、早さ、ワセダはすべてで相手を凌駕するつもりです



―すぐ下にいる部内の屈強なライバル・須藤拓輝(3年)について思うところは。練習からかなりバチバチみたいだけど



  もう超怖いですよ…。須藤はスクラムの強さに、うまさもあって、本当にいやらしいフッカーです。加えてスローイングも抜群にうまい。だから自分が勝つためには、スクラムとフィールドプレー、まぁこれって全部なんですけど(笑)、とにかくフッカーとして求められていることのすべてを、高いレベルで兼ね備えなくてはいけないと思ってます
 


―伊藤平一郎といえば、ワセダクラブのスクールに常に顔を出していて、子供たちからの人気もNo1というイメージだけど、毎週時間を割いて参加する最大の動機は



  ハハハッ(笑)。もう純粋に子供が好きというのもありますし、将来的には指導者としてラグビーに携わりたいというのが絶対の目標なので。自分も小学生のときからスクールでラグビーをしていたので、参加するたび、その頃を思い出します。僕も小さいときそうだったんですけど、大学生だったり、お兄さんたちが来てくれたらやっぱり嬉しいじゃないですか



―その子供たちがいつも熱烈に応援してくれているのは、実に微笑ましい光景



  それが本当に嬉しくて。子供たちと接すると、ラグビーを始めた頃を思い出しますし、逆にいつもたくさん応援してくれて、僕が逆に力をもらってます




―子供たちと接するとき、心掛けていることは



  特別こうしようとか、後藤さんから何か言われているというのはないんですけど…、絶対に子供たちを楽しませてあげようとは思ってます



―スクールのときの後藤監督はどう映ってる?



  もう優しい校長先生ですよ(笑)



―中学生のときは砲丸投げをやっていて、相当ブイブイ言わしていたって話だけど…



  砲丸投げ、やってましたね(笑)。中学3年生のときは、ジュニア五輪で全国4位でした。5キロをたしか14メートル79。中学生のときは部活で陸上、週末にスクールでラグビーを並行してやっていたんですけど、進学のときには陸上からの勧誘の方が遥かに多かったです(笑)。それこそ福岡の強い高校からは全部話が来ました。ひとつ下ですけど、今ワセダでやり投げやっているディーン元気(先日、日本歴代2位の記録を出し、一躍脚光を浴びる陸上界の新星)も当時、砲丸投げで大会に出てましたね



―そんななか、ラグビーを選択したのは



  小学校からやっていたラグビーの方が好きでしたし、絶対に負けたくない奴がラグビー界にいたので。筑紫で(原田)季郎の同期、今は東海大でCTBやってる百武なんですけど、幼馴染で絶対負けたくないと



―砲丸投げの経験がラグビーに生きていることはある?



  砲丸投げ自体では特には感じないですけど、基礎体力であったり、体の使い方という面では生きていると思います



―福岡の中学から大分舞鶴に進学した背景は



  両親が大分出身で、当時は少ししかいなかったですけど、僕も生まれたのは大分だったので。それと、小6だか中1のときに舞鶴が花園で準優勝したのを見て、憧れてたんです



―単身乗り込んでのひとり暮らし



  はい。榎本(光祐、現・コカコーラ)さんの隣に住んでました(笑)



―高校生にしてのひとり暮らし、なかなかないことだと思うけど、そのとき得たもの、今に生きていることってやっぱり多い?



  これは今も変わらないんですけど、親のありがたみというのを本当に感じましたね。毎日22時過ぎに帰ってきて、そこから洗濯して~という生活で



―大分舞鶴では、当時の相当なポテンシャル軍団のなかナンバー8でプレー



  高3のときですね。あのときのFWは全国でもトップクラスだったと思います。舞鶴では伝統的に一番突破力のある人間が8をやるんですけど、その年は僕でよかったんですかね(笑)
 



―そして、幼少からの憧れ?ワセダへ



  ワセダにはずっと憧れて、もう絶対に行きたいと思ってました。スクールのジャージーが似ていましたし(笑)、大田尾(2003年度主将、現ヤマハ)さんの頃とかものすごく見てましたから。念願が叶ったという感じです。中学のスクールのコーチが、メイジのリクルーターをされていたこともあって、メイジからもかなり誘って頂いたんですけど…、僕がずっとワセダに行きたがっていたことを知ってくれていて



―ワセダでは最初からフッカーをやる気と決めていた?



  (当時監督の)中竹さんからは、フッカーで考えていると言われていたんですけど、入学したら12月までは1番でした(笑)。そこからジュニア選手権の決勝に2番で出て、大学選手権もフッカー。舞鶴でも2年までは1番、高校代表ではフッカーをやりましたけど、本格的にやったと言えるのは、大学1年の12月になってからです。でも、1番として試合に出ていた経験はその後に生きていると思います



―8が恋しくなったりはしない?



  あー、ワセダの8なんて僕には絶対無理ですよ(笑)
 



―フッカーとして1年生から試合に出続けてきたけど、これまでの3年間はどんなものだった? 今振り返って思うこと



  1年目はもう訳が分からないうちに終わってしまった感じで、やり残した感、何をしていたんだろう?というのがありました。2年目は決勝まで行ったんですけど、僕とシン(3番、垣永真之介)のところがやられて負けてしまったのが、本当に悔しくて悔しくて…。昨年は1年目に似ていて、何で負けてしまったのだろうという気持ちが強かったです。負けた瞬間は、信じられない思いでした



―まだ見ぬ『荒ぶる』とはどんなものですか



  これは本当に分からないです、全然。『荒ぶる』を歌うためには…、まずはブレないことだと思います。そのときそのときでやるべきことを信じて、貫いて、圧倒的な力をつけること。僕個人としても、セットの安定はもちろん、フィールドプレーでバックロー並みの働きをして、チーム力を上げなくてはいけない。FWの核とまでは言わないですけど…(汗)、誰からも頼られる選手にならなくてはいけないと思ってます



―4年生になって、考え方などに変化はある?



  どうなんでしょう。自分たちが率先してやらなければ、下はついてこないとは感じてます。例えば、怠慢なプレーをしてしまったら、それでいいんだとなってしまう。そういった責任は感じるようになりました




―ファーストミーティングで後藤監督から、社会的リーダーに~の話があったときは、何を思った?



  僕自身も、ラグビーを通じてそういった人間になりたい、人格を形成していきたい、将来はコーチに~と思っていたので、すごくスンナリ入ってきました。自立については…、徐々にだと思います(笑)



―WURFC2012ここで勝つ!は



  とにかく強いFW、スゴイBKでどのチームにも勝つ。そんなチームを目指してます



―最後に次週のメイジ戦について。後藤監督の「スクラムで押し勝つ」宣言にどう応える?



  それはもう、後藤さんがそう言われるならやるしかないです!(笑)。メイジはフロントとしては、当然意識せずにはいられない相手ですし、自分たちが今どこにいるのか、すごく楽しみにしています


<早大ラグビー蹴球部寮にて GWを終えて>

 


後藤禎和 『緊張・継承・創造 Vol.1』
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WURFC2012 『Independence day Vol.1』 上田竜太郎
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後藤禎和 『緊張・継承・創造 Vol.2』
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