ブログ一覧

ブログ 2005/8

Vol.05 「世界が振り向いたえび茶戦士」[コラム・早稲田ローイング]

投稿日時:2005/08/27(土) 21:04

その昔、大西鐵之祐率いるラグビー日本代表が、ニュージーランドの首都ウェリントンで「オールブラックス・ジュニア」を撃破したとき。このときのフロントロー3人の平均体重は、黒衣軍の「95キロ」に対し日本代表「73キロ」。その差、実に22キロ。
荒ぶる大西魔術はそれを見事にひっくり返し、世界に衝撃を与えたのである。

ボートの世界でも(決定的ではないが)体格に優れたほうが有利ではある。全日本選手権の決勝ともなれば、やはり世間で“巨漢”と呼ばれているであろう人々が揃う。
しかし早稲田ラグビーに限らず、早稲田ローイングも「小さい者、でかい者をいかに倒すか」の闘いが、綿々と積み重なった歴史であることに気づく。

では、その歴史の中で、ラグビーのオールブラックス・ジュニア撃破の如く、えび茶のオールが、えび茶戦士が、世界を振り向かせたことはないのだろうか。
そう思って探してみた。

村瀬康(昭40年卒)。早稲田大学4年時、東京オリンピック・ボート代表。
村瀬は身長170cm・体重64.5キロ。一般にボート選手として明らかに小さい身体でありながら、彼は五輪出場を果たし、その気迫溢れる漕ぎは、世界の第一人者をも手放しで感動させたのである。

村瀬がボートを始めたのは早稲田大学に入学してからだ。入部した昭和36年。新入部員80名は背の高い順に並ばされ、背の順に艇とオールが与えられた。しかし、後ろから数えて数番目の村瀬のもとには、艇もオールもろくに回ってこなかった。

しかし村瀬の夢は、その小さい身体で五輪に出場し、世界にひと泡吹かせることだった。それには自分を見下ろしては通り過ぎる、巨漢たちに勝つのだ。

村 瀬は考えた。水上での練習。陸上での練習。自分は身体に恵まれない分をカバーしようと、これ以上ないほど努力しているが、身体の大きい仲間達だって相当に 努力している。他大学の連中だって、していることは同じだ。だとすれば、彼らに勝つには、練習時間以外の時間をどう過ごすかが決め手になるのではないか。
そうだ。思いついた。オレは寝る時間の外、すべての時間を練習時間にすればいいのだ。

大学への通学時間もトレーニング。村瀬が「通学3種目」と呼んだその内容。

まず最初の種目。電車の中。村瀬は決して座らない。ただ、何食わぬ顔で吊り革につかまっている。乗客は気付かないが、彼の腕は吊り革をギュッと引いたまま、じっと静止している。寸暇を惜しんでのアイソメトリック(等尺性筋力)トレーニングだ。

種目その2。村瀬は電車に乗ると必ず進行方向に背を向け、外を見ている。その視線の先は、飛ぶように流れ行く線路際の小石だ。小石の流れる速さの変化を敏感に感じ取れるようになれば、ボートの上でも、水の流れる速さで艇のスピードを正確に読めるようにならないか。

高 田馬場駅で降りると、種目その3。今度は速歩だ。ずっと先を歩く学生を、あの角までに抜くと狙いを定め、その通りにジワジワ並びかけ、一気に抜き去る。 ボートレースの2000mという限られた距離で、ゴールまでに確実に、先行する相手を刺し切る。そのレース感覚を鍛える。

速歩しながらも、頭の中ではボートを漕いでいる。ボートでは脚の踏ん張りが重要だ。一歩一歩、かかとから親指の先まで、水をつかんで、最後のひと押しまで、ボートの上での脚のフィーリングを思い浮かべ、地面を蹴るように押し、猛烈な勢いで歩くのである。

教室に着く。が、村瀬のトレーニングは終わらない。ふと隣を見た級友が驚いて目を丸くする。よく見ると村瀬は授業を受けながらも、自分のお尻を椅子に触れるか触れないかのところでずっと止めたままだ。授業中でも大腿四頭筋はトレーニングできるのだ。

とにかく寸暇を惜しんでトレーニング。だが正直、効果があるのか無いのか、わからない。
それでも構わない。自分より大きい奴等より、コンマ1秒でも強くなるのだと信じた。

昭 和37年。そんな努力が実を結び、村瀬は全日本選手権ダブルスカル(2人漕ぎ)で優勝、頭角を現わす。翌38年、プレ五輪の東京国際スポーツ大会、シング ルスカル(1人漕ぎ)に出場した村瀬は、優勝した世界の第一人者イワノフ(ソ連)に、レース前半では互角の戦いをし、日本選手最高の3位に入賞した(これ は今日なお、国際大会のシングルスカルで日本選手が付けた最高順位である)。

そのレース後。村瀬は優勝のイワノフに直談判、“テストマッチ”を申し込む。
五輪三連覇の超人は快諾した。距離は300m。村瀬は本気で世界を倒すつもりだった。

結果は、ほぼ同着。でも証明した。オレのスピードは世界一流だ。レース後イワノフは
「ヤスシ、君のそのファイティング・スピリットに感動した。記念に僕のオールを贈ろう。僕はこれで世界最高記録を出したこともある。ヤスシ、今度は五輪で勝負しようよ。」

世界のイワノフが「ボートマンの魂」たる愛用のオールを、村瀬の眼前に差し出している。彼はボートマンとして、村瀬にこれ以上ない最高の敬意を表しているのだ。
さて、返礼に何を贈ろう。村瀬はハタと考え込む。
そうだ、あれにしよう。急いで自室へ走り、戻ってきた村瀬の手には、自分用に買ったばかりの新品の「下駄」が握られていた。

そ して東京五輪の年・昭和39年。村瀬が細谷進(昭40年卒)と組んで挑む、ダブルスカル五輪代表の座は、慶大が主将・鈴木壮治と日本代表候補・河村吉庸を 組ませ打倒早大・必勝態勢で臨んできた。世界のイワノフに認められた村瀬とはいえ、慶大は強敵だ。体格に勝る上、繊細なテクニックもある。
そして春の早慶戦、全日本選手権。早大は、慶大と接戦のすえ敗れてしまう。

村瀬・細谷は黙々と、一層の猛訓練を重ねる。
世界も称えたえび茶戦士、五輪で世界を振り向かせずにおられるか。

最後の最後、ラストチャンス。8月末の五輪代表最終選考会。
1500mまではいつも通り、息詰まる大接戦。1500mは早大が一瞬リードして通過。
村瀬・細谷は耐える。逃げる。慶大の追撃。まさに死闘。日頃の彼らの黙々とした猛練習を知る早稲田の部員たちの感動は極に達し、興奮の涙でレースが見えない。ゴールは早慶二艇がほとんど同時に飛び込んだ。
早稲田か。慶應か。どっちだ。やや早稲田が先だったかに見えたが。

ゴール地点は騒然となった。
死闘を終えた早慶二艇の漕ぎ手は艇上で仰向けに倒れ、息苦しさにあえいでいる。
しかしこの時、慶大主将の鈴木が息も絶え絶えの中、仰向けのまま、こう叫んだ。

「ワセダ、オリンピック頑張れよ!」

結局、ゴールの判定は写真判定。30cm、0.41秒差で早稲田クルーの勝利。
30cm差、最後の最後、ついに身長170cmのえび茶戦士は五輪代表の座を勝ちとった。

寸暇を惜しんだトレーニングは積み重なり「0.41秒」に結実したのだ。

それにしても死闘後のライバルをすぐさま祝福した慶大主将の潔さと爽やかさ。
胸に熱いものが込み上げた。五輪ではライバル慶應の分も漕ぐ。絶対に世界にひと泡吹かせてやる。

ところが満を持して臨んだ五輪本番では本来の漕ぎができず、ベストタイムにも遠いまま、あっけなく終わる。えび茶戦士は再び世界を振り向かせるには至らなかった。
ライバル慶應に申し訳ない。それが原動力となり、村瀬は卒業後も母校早大のコーチ、監督を通じ、想いを後輩に託す。

東 京五輪の6年後。慶大医学部ながら日本代表候補の河村吉庸は、不慮の事故でこの世を去る。慶大主将の鈴木壮治はボート、そして五輪への情熱止まず、村瀬以 上に長く母校慶大のコーチ、監督を通じてボートに身を捧げ、平成12年、シドニー五輪では日本代表チーム監督を務めた。
鈴木が率いた日本チームは、奇しくも鈴木が村瀬たちと繰り広げた36年前の名勝負と同じ、ダブルスカル(軽量級)で日本ボート界初の五輪入賞(6位)を果たす。

世界に通用する選手を育てること。それは村瀬の夢でもあったのだ。
その日の夕刊紙は、珍しくボートの写真がカラーで躍った。こんなことは初めてだろう。
村瀬はそれを眺めつつ、36年前のライバル・今や日本代表監督の、あの息絶え絶えの祝福を想い出し、独りささやかに、感謝の杯を捧げたのだった。

(敬称略)

Vol.08 05年7月31日号 「横浜市民レガッタに出場!」[ボートスクール通信]

投稿日時:2005/08/23(火) 21:14


レース直前のクルー

7月31日は、鶴見川漕艇場で行われた横浜市民レガッタに出場しました。
保護者も含めて11クルーが出場し、各種目で優勝、準優勝を収めました。
昨年に引き続いての参加となりましたが、やはり去年と同じ猛暑と強風に見舞われました。
しかしお昼の時も「次はいいタイムを出したい」と、暇さえあればレースのことを考えている姿が見られました。
昨年は家族ごとにお昼を食べていたようでしたが、今年は試合を待つ間もお昼も、クルーごとにまとまっていることが多くなりました。
メンバーは試合前に発表されますが、レース会場に来ると「このクルーで勝ちたい」という想いがいよいよ強くなるようです。


この日、快漕のレースを見せてくれた井手魁利君、田中総一郎君はレースを終えて、「次のレースに向けてタイムをあげたい」(井手君)、「全員でもっとキャッチを合わせたい」(田中君)と、早くも次の大会への目標を話してくれました。


ちょっと緊張!!

保護者クルー
表彰式では賞状やお菓子などをたくさんいただきました。

<< 2005年8月  >>

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

アーカイブ

ブログテーマ

ブログ最新記事

ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol110 7/15の練習風景  2018/07/17(火) 09:54
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol109 7/1の練習風景  2018/07/13(金) 11:01
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol108 二都県大会遠征の様子  2018/06/25(月) 15:31
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol107 6/17の練習風景  2018/06/18(月) 16:41
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol106 6/10の裏側  2018/06/12(火) 12:11
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol105 6/3の練習風景  2018/06/04(月) 12:55
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol104 5/27の練習風景  2018/06/04(月) 12:00
フェンシングスクール通信 第19回東日本少年個人フェンシング大会で入賞  2018/05/28(月) 15:54
ワセダクラブM.F./G.B.情報 お問い合わせ先  2018/05/25(金) 17:05
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol103 5/20の練習風景  2018/05/25(金) 15:05
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.102 5/6の練習風景  2018/05/10(木) 16:47
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.101 4/29の練習風景  2018/05/01(火) 13:04
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.100 4/22の練習風景  2018/04/23(月) 11:02
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.99 2018年度開校式  2018/04/08(日) 14:01
フェンシングスクール通信 2017年目黒区フェンシング大会2名入賞  2017/09/21(木) 13:58
フェンシングスクール通信 2017年全国小学生大会入賞  2017/09/21(木) 13:56
フェンシングスクール通信 2017年杉並カップ ワセダクラブから入賞多数  2017/09/21(木) 13:54
フェンシングスクール通信 平成29年5月スクール通信  2017/05/26(金) 12:53
ラグビー レディース通信 ■Vol.235 2017.4.22 練習レポート  2017/04/27(木) 11:33
ラグビー レディース通信 ■Vol.234 2017.4.15 練習レポート  2017/04/19(水) 19:56