ブログ一覧

ブログ 2012/11

特別編 『早慶戦』を終えて[後藤禎和 『緊張・継承・創造』]

投稿日時:2012/11/23(金) 22:23





 今回は、主将・上田を欠いての戦いになりましたが、欠場が決まってから日数があったので、その部分は割り切って臨むことができました。ただ、お互い2敗と3敗、下馬評はワセダというなか臨む『早慶戦』というところに、怖さを感じていたのは事実です。


 準備の段階では、『早慶戦』の重み、創部からのワセダの歴史を説き、学生たちに十分それを感じてもらうこと。プラス、明後日(25日)には対帝京・BCDE4連戦もあって、大きな一週間になるぞと、鼓舞してきました。チームに流れる空気は、よかったと思います。


 試合の方は、やはり『早慶戦』らしい『早慶戦』だったなという感じです。それは雨が降ってしまったということが一番の要素になりますが、ワセダのデキも決して悪くなかった。特にディフェンスは評価できる。ビデオを見ても、FWのゴリゴリ以外のところは、破られてないはずですから。


 今日は「いい勝ち方ができた!」と、なるようこれからもっていきます。今までにできなかった勝ち方をできたのは大きい。粘って粘って、最後の10分で突き放したのは自信になる。それが今日の戦いで得たもの。


 本当に自信を持って、次の『早明戦』以降の戦いに臨んでいく。そして、最後まで崩れず、集中しきる。これが地力となったなら、今日の大きな収穫です。


 監督として迎えた初めての『早慶戦』。基本これまでと変わりませんでしたが(笑)、春夏比較的楽な試合で勝っていたとは思えない、得体のしれない怖さは感じました…。


Vol.7 黒澤健 確かなプロセス、残された日々―[WURFC2013『 Independence Day 』]

投稿日時:2012/11/14(水) 21:35

 



  そのプレーは4年生らしさに満ちている。その責任感、安定感は、誰しもが信頼寄せる。まさにザ・ワセダのFB。この男の存在抜きに、今のチームは語れない。



 「昨年はここを直そうとか、自分で見ようとしていませんでした。ラグビーも嫌になって…。でも今は、『早慶戦』『早明戦』に出る姿をしっかりとイメージできる。死ぬまで後悔するのは絶対に嫌なので、残された時間はもう、ラグビーのことだけを考えます」…。



 その想いは、必ずチームの勝利に繋がる。赤黒の新守護神、いざ憧れの舞台、その先の世界へ―

 





WURFC2012 『Independence day Vol.7』 黒澤健

編集・疋田拡



 



―いよいよシーズン終盤、今はどんなこと考えながら毎日を過ごしてる?




 自分自身、Aチームでこれほど濃いシーズンを送れているのは初めてなんですよね。昨年は途中で、筑波大戦の後からチームが下がってしまったので…。


 今は必死にしがみついているという感じではなくて、どれだけ自分がチームにとっていいプレーができるかを意識しながらプレーできています。その時点で、昨年とは考えているところのレベルがひとつ上なのかなという感覚です





―帝京大戦の後、チームに流れる空気は




  夏の帝京大戦の後は、ボコボコにやられて(0-43)、何だこの差は…と暗い感じで終わってしまったんですけど、先日の試合は、全然いけるじゃん!って。きちんとやってきたことを出せば、という感覚の方が強かったです。


 これはみんなも同じだと思うんですけど。もちろん、勝てた試合を落とした悔しさはありましたが、自信になる部分も大きかったです





―時間が少し経った今、改めて振り返る帝京大戦




  入りもよかったですし、ワセダの流れに乗っていけて、点差もつけることができた。でも、やっぱり最後の最後に…。ミスはある程度仕方がないとは思うんですけど、そのミスに至る過程でのプレー選択ですよね。


 例えばBKであれば、もう少しタテに行ってもよかったんじゃないか、とか。間島のキックミスのときにも、そのままの空気で次に進んでしまいましたし。何か流れが向こうへ行きそうになるときに取り戻すようにしないと、ああいった結果になってしまうと改めて思いました

 


 



―後藤監督は、80分戦い切る体力は絶対にあると確信している。知のフィットネス、考える力が~という話をされたけど、プレーしている側の感覚としてはどう?



 後ろから見ていても、順目にセットできていないとか、接点ですべて受けるようになってしまうなんてことはないですし、個人としても最後まで走れてはいました。なので、後藤さんの言われるように、考える部分なんだと思います。


 どうすればこのゲームをこの流れのまま勝ちまで持っていけるのか。ひとつひとつのプレー選択を考えられていたら、ああいったことにはならなかったはずですから。体力的にはしっかり走れています





―負けた瞬間は、どんなこと思った?




  やっぱり悔しかったですけど、その半面自信も得た。チームとしては、過度に落ち込むようなところはなかったです





―後藤監督からはどんな言葉を




  キックオフをミスしたときとかに、あそこでこそチームの雰囲気を盛り上げていけないのかとか、そういった話もありましたし、試合後最初に言われたのは、悔しかったなって。それは勝てるというレベルに来ているからこその言葉だったと思うんですよね





―最後のところはどう説明する?あの時間、ワセダに何がと問われたら




  んー、プレーしている側としては、それまでと特別違うことをしているような感覚はないんですけど…。ミスが重なってしまうんですよね、最後の最後のところで。BKの間では、最後までしっかりやってきたこと、プランを遂行しきろうという話をしました。


 その上で、もっとCTB陣をタテに入れて堅くいってもよかったかなとか、最後は間島も切れてきていたので、ロングパスを放らせない選択をするとか、勝ちきるために、チームとしてひとりひとり、ひとつひとつのプレーをしっかり見つめ直していかなければと思っています

 





―その前段、10点のリードのはずが14点になったことで心の変化はあったりした?



 恐らくは。あれで、いける!というのはあったかもしれません





―FBとしてはかなりのパフォーマンスだったのでは? キック処理を筆頭に




  もうハイパンに関しては、相手のSOが夏にもすごく高いのを蹴ってきていたので、それをイメージして、その週はずっと間島に高いのを蹴ってもらっていました。しっかりと自分のなかで準備して臨めた結果だと思います。


 迷いなく自分が処理するんだと思って飛べましたし、アタックに関しても、トライに繋がったところなどは、森田とずっと合わせてきましたから。準備してきたことを出せば、通用するし、イメージをしっかりと持つことができれば、そのとおりのプレーができると、改めて感じられたゲームでした





―夏に対戦したときには、カウンターに行くところをことごとく潰されていた




  やっぱりそこにフォーカスした練習もしてきましたので、改善はできていたと思います。BKだけで外に持っていったときにどうするのかとか。そこもやってきたことがしっかりと出せたことで、きちんとボールキープでき、いいテンポを生むことができた。反省して、練習して、同じ相手に同じことを繰り返さなかったのは、大きな収穫です





―11番磯田選手に2度大きく切り返されたのが痛かったけど…




  あの場面は、蹴った後のディフェンスをFWも入れて練習しているんですけど、まだ完成していなかったということです…。ビデオを見ても、練習通りにやれていれば、捕まえられているはずなので。そこはBKだけではなくて、チェイスするFWとももっと練習しなくてはいけないですね。あれが起点になって得点されているので

 




―ずっと課題と言われてきたアタックについての感覚は



  布巻もやっと持ち味を出してゲインするようになってきましたし、敵陣での精度も高くはなってきている。あとは、このレベルになってくると、なかなか抜けないというのが当然なので、そのなかでも少しずつゲインできるようになること。ミスはまだなくならないですけど、精度は上がってきていると思います





―その布巻が先日、トライへのイメージの話をしていたけれど、描けてきている?みなでの共有




  そうですね。こうして、こうした後は、こう攻める。例えば帝京戦前も、後藤さんが相手をイメージしたプレーを色々と提示してくれて、練習でも合わせていたんですけど、理論上の動きでどこまでうまくいくのか?という疑問も多少あったのは事実です。


 でも、いざ試合でやったら、かなりハマっていた。みんなも確信を持ちつつあると思います。こうアタックすれば、こう動けば、穴が空いて、ゲインできて、トライできると。最近の練習でも、みんなしっかりとセットできるようになってきていますし、しっかりイメージを共有できているのかなと





―筑波大戦の後、後藤監督は「しばらくBKと向き合っていきたい」と




  やっぱり僕たちの技術が低いんだなと感じました…。結局、BKのミスでやられている訳ですから。夏からずっとミス、ミスと言われてきて、筑波にああいった形で負けて、本当にこのままではいけないと。そこから後藤さんがBKのユニットをつきっきりで見てくれるようになって…





―どんな時間だった?




  後藤さんがついてくれることで、間違いなく緊張感が生まれますから。それを僕たちだけで出さなくてはいけないんですけど…。緊張感のなか、この練習ミスなく終わるまで次行かないから、終わらなければ朝までやるからなって。


 ひとつのボールをミスせず繋ぐ意識を改めて持つこと。あとは、ハンズアップしてキャッチだとか、しっかり声を出してもらうとか、当たり前というか、基本のところに戻りました。気付きもあって、いい時間だったと思います

 




―BKさらにこうなっていきたい!というものは



  もっとBKから仕掛けて、裏に出て、ビッグゲインして、そこからFWに繋げていけたらと思っています。ワセダの理想ですから。そのためにもっともっと精度を高めないといけないですし、間島でも小倉でも、誰がSOに入っても、同じプレーができるようにみんなで詰めていかないといけないです。まだまだ練習して精度を上げる





―ディフェンスに関しては




  BKは整ってきているのかなと。間を突き破られたりせず、ある程度安心してできていますから。ただ、FWのピラーサイドのノミネートミスであったり、例えば中村君に逆転トライを取られた場面のような、まだ全体でツメの甘さがあるので、最後までやりきれるようにしなければです。それでも、後ろから見ていて、ディフェンスのレベルは確実に上がっていると思います





―その逆転トライを喰らったシーン。あれは飛び込んでしまった?




  そうですね…。あそこが空いたのが分かったんです、後ろから見ていて。そこに絶対中村君が来ると思って、思い切り上がったんですけど、完璧に飛び込んでしまいました…。


 あの場面はもっとSHを使ってもよかったですし、何なら捕まえるだけでもよかったのかなと。それまでタックルに入れていたんですけど、あの1本があったので、僕個人ディフェンス面では、悔しさしか残りません。ああいう1本はあってはならないですから。しかも、あれで逆転されて…

 




―飛び込んでしまう前までのところ、あそこに上がってこれるのは、ザ・ワセダのFBという感じもしたけど…



  上がるところまでは、練習してきている通りのものが出せました。もう何も考えないで、長井さん(FB担当コーチ)の練習が沁みついているというか。自分自身でも、あの時間帯、きちんとあそこにいられて、上がれる体力があるのは、成長できている証拠だとは思います。抜かれていて言うのもアレなんですが…。あとは最後までのタックルの精度です





―前でロックの芦谷もディフェンスにいける位置にいたけど、それは目に入ってた?直後、相手に当たって間ができた




  目には入ったんですけど、もうそこが空いたので、迷いはなかったです。一番薄いところに走らなければならないですから。これは空くと思って上がったんですけど…





―ワセダのFBとは…と問われたら




  ディフェンス(笑)。みんなそう答えると思います。アタックの練習はしてないですから。他の大学がどうか分からないですけど、これはワセダだけだと思います

 





―帝京大戦の翌日、予定外に長井コーチとマンツーマンでみっちりワセダ式の練習をしていたけれど、あのときは何を思った? 一説によると、「お前のせいで負けたんだ!」と言われたとか…



  ハハハッ(笑)。そこまでは言われてないですけど、長井さんは最後の最後の、中村君に抜かれたところをすぐに修正したかったんだろうなと。あのきついところもでも、もっとしっかりと上がってという意味だったのか…。でも、タックルの練習ではなかったんですよね。ポジショニング的にはいれましたし…。


 20本3セットのメニューだったんですけど、3セット目は、ここは理屈じゃねーんだよって。だから、最後までしっかり走って止めろよってメッセージだったんだと受け止めています。きつかったです…。まさか試合の翌日には何もないだろうと気を抜いていたので…(笑)





―明らかに昨シーズンまでと、そして夏までとも違うように映るけど、自分のなかに変化を感じている部分はある?何か掴んだのか、きっかけがあったのか




  自分のなかでは、そんなに変化を感じたりというのはないんですよね。自然とここまでこれている感じで。昨年はもう必死にAチームでプレーしているという感じだったんですけど、今年は本当に責任感を感じて、自然とタックルしなければ~と上がっていって





―春ラストの東海大戦は、見る側には印象に残っている。終盤苦しい場面で登場して、チームを救ういいプレーをして、そこからAチーム




  今考えると、大きかったのかもしれません。あの時間帯に出されて…。その週は、もう絶対にFBとしてタテにいこうと自分のなかで決めていたんです。試合に向けてこれをやろう、これを意識して~、イメージして~というものをしっかり持てば、試合でも出せると分かった試合ではありました。それでAチームにも上がれたので。そこからの夏合宿は、正直必死でした。とにかく落ちないように。何としてもAチームに居続けたいって

 





―最初に昨年は筑波大戦で落とされて~という話が出たけど、あの経験はどんなものだった? U20で評価を受け、ワセダでも期待されて臨んだシーズン



  まずU20から帰ってきて膝のオペをしたんですけど、そこからもう全然走れなくなってしまったんです。体力はないし、スピードもないし、キックオフしてワンプレーすると、もう息が切れているくらい。自分のなかの精神的なところも大きかったと思うんですけど、昨年は赤黒を着ることに緊張して、押し潰されてしまっていた。


 体も動かないし、心も追い詰められて、一杯一杯で…。そんななか、相手のレベルが上がってくると、何も通用しなくなってきますし、それでまた下手なことしようとして、ミスして、空回りして…。昨年はもう、ラグビーをするのが嫌になりましたね。腐ったというか、寮にいることすら嫌でしたし、毎週監督部屋にメンバーボード見に行くとチームが落ちている。


 今でも嫌になります、あの頃のことを思い出すと…。でも、自分でここを直そうとか、そういったものを見ようとしていませんでした。逃げていたというか。シーズン終わったときに、そう強く感じたんです





―4年生になった今は変われていると




  期限があってのラグビーって今年で最後だと思うんですよね。社会人でもラグビーは続けるんですけど、社会人では引退を自分で決められるじゃないですか。中学生のときに、何となく始めたラグビーが、今は自分の人生の中心になって、それが今年で集大成。そんな思いが強いです。


 昨年までより、練習を大切にするようになりましたし、体に気を遣うようにもなりましたし、4年生だからがんばろうという感じは自分のなかではないんですけど、自然と今年が集大成だという気持ちにはなっています





―ラグビーを始めた北中野中には、当時の今田コーチがワセダクラブの活動の一環として、よく教えに行っていた




  そうでしたね。色々教えてもらっていました。後藤さんも時折来てくださって

 





―それがワセダ進学に大きな影響を与えたりは…



  いや、まったく(笑)。小さい頃からワセダラグビーを見ていた訳ではなくて、大学といえば、ワセダか慶應がかっこいいとは思ってました。それで、高校受験のときに、早実か久我山かで迷ったんです。


 早実だったらワセダに行けるけど、大学で通用するプレーヤーになれるのか…とか。最終的には、やっぱり一番レベルの高いところでやりたいと思って、久我山に決めました。そして、漠然とワセダか慶應か…と思っていたなか、大学はワセダに行こうって





―いよいよ『早慶戦』『早明戦』が待ち受けているけど、自分にとってはどんなもの?昨年までは届かなかった舞台




  一年生のときは試合に出る人たちのために前日落ち葉拾いしていて、何でこんなことするんだろう。こんな落ち葉で滑る人いないだろとか思ってたんです…(*『早慶戦』、『早明戦』の試合前練習前日、下級生が周囲の落ち葉を拾い、グラウンドをきれいにするのがしきたり)。


 ずっと出たいけど、出られると思っていなかった、イメージできなかった舞台。でも、今はすぐそこに『早慶戦』で戦っている自分が想像できますし、『早明戦』でも国立に立つんだというイメージもできています。緊張もしないと思いますし、いざグラウンドに立ったときは、喜びを感じると思います。


 試合前練習でタイガージャージーを着せたタックルバックにみんなの前でタックルするとか、決意表明するとか、今までは見ている側、聞いている側だったので。やっぱり、緊張しちゃうんですかね…(笑)

 





―最初で最後の『早慶戦』、『早明戦』。こんな試合を、こんなパフォーマンスをという想いは



  まずはチームに貢献することが一番なんですけど、個人的には、相手のチャンスの芽を摘んで、逆にブレイクしてチャンスメークする。その起点が自分であったら、最高だと思っています





―ここからワセダが勝っていくために必要なものは




  やっぱり、まずは今のこの勝ちきれない流れを変えなくてはならない。そのために、プレー選択しかり、準備してきたことを最後までしっかりとやりきること、勝ち方をみんなで共有することが大事だと思っています。


 あとは、この時期になると、下のチームにいる人間は、4年生は必死にやるとしても、どうしても来年を見据えてしまうんです。来年がんばればろうって。これは僕もそうだったんですけど…。そうではなくて、やっぱり今年に全部員が懸けないと勝てない。そのための環境を4年生が、上のチームのメンバーが作っていけるかだと思います





―後藤監督は最近、狂いきるという話をするけど、そこに何を思う?




  僕は結構淡々とプレーする方というか、あまり熱くなってはいけないポジションだと思ったりするんですけど…、後藤さんの言われる「狂う」ってのは、体験してみたいですね。きついことが全然きつくない、そこで薄ら笑いすらでてくるという状態を…





―最後に、残された時間に対する想いを




  もう本当に残りは少ないですし、『荒ぶる』を歌えなかったら、死ぬまで後悔すると思うんです。残りの人生のその長い時間後悔するのは絶対嫌ですし、そうならないためにがんばれるのは、もう今、あと2カ月しかないので、ラグビーのことだけ考えて、勝つための生活を送りたいです


 
<早大ラグビー蹴球部クラブハウスにて 『早慶戦』を前に>

 

Vol.9 信じることと狂うこと―[後藤禎和 『緊張・継承・創造』]

投稿日時:2012/11/06(火) 20:55


 

  それは分厚いカベだった。組織としてのあり方さえ考えさせられた。11・3 ファーストⅩⅤ、11・4 BCDE。シーズンの最大ターゲットして臨んだ対帝京5連戦は、屈辱の完全敗北。王者の牙城を崩しかけるも、そこにはたしかな差があった。



 「あのとき、ワセダは相手と戦えていなかった。信じることと狂うこと。チームを問わず、狂いきれる人間が一人でも二人でも出てきてくれたら、変わっていくと思う」。



 それはすなわち、赤黒を勝者たらしめてきた誇るべき伝統。絶やすことなく継承してきたメンタリティ。今改めて…ワセダの進むべき道―

 





後藤禎和 『緊張・継承・創造 Vol.9』

編集・疋田拡



 



―ものすごい週末になりましたが、何を思いましたか。最大ターゲットとして臨んだなか、A~Eコンプリートされました




 まぁ、今回は3日の試合にすべてを懸けていたので、その試合の結果がああなった(27-37)というのがすべてだね





―勝ちゲームだった、との認識でよろしいですか




  見ている人はどう思ったんだろう?





―これ勝たずにいつ勝つのよ!という感じはしましたが




  …(笑)。まぁ、色々な要因があるんだけど、プラスに捉えるしかないね。この間の筑波大戦もそうだけど、負けたからこそ、勝っていたら見逃していた部分をとことん追求して次に生かしていく

 




―プラスになりそうな部分、どういったことになりますか



 色々とあるんじゃないかな。例えば、エリアのところは、特に前半はほぼ順当に取れていって、敵陣に入ったところで、安定したセットから用意したプレーで仕掛けていく。実際にトライも2つ取れた。そこは大いに自信を持っていいと思う





―戦い方、ゲームの進め方は概ね用意してきたとおり、想定どおりにいっていたと




  そうだね





―そのなかでの敗因はと問われたら




  後半の残り20分で、結局ミスと言ってしまえばミスに尽きるんだけど……。そこで、ミスにミスを重ねてしまうところかな。例えば、間島がキックオフでノット10を蹴ってしまったところ、次のスクラムでFWが取り返す!くらいのところで、またそこでペナルティ。そういった悪い流れをどんどんどんどん積み重ねてしまった。要は相手と戦っていなくて、もう自分たちで勝手に相手にお膳立てして苦しい場面を作っているというか、迎えているというか…

 




―間島陸をSOに入れたことがそれまでとの大きな変化でしたが、どう評価されますか。本当に初めての赤黒がビッグゲーム




  あいつのいいところは、もちろんキック力もそうなんだけど、こちらが提示したゲームプランをきっちり理解して遂行してくれるところにあるからね。…前半までは(笑)。そこはほぼ期待どおりだった





―筑波大戦に続いての終盤大逆転負け。今回はどうなんでしょう。なぜああなるのか、あのゲームとはまた違うのか…




  基本的には一緒。これは負け惜しみではなくて、肉体的なフィットネスが、あそこで80分走り切れないレベルには絶対にない。その確信はある。個人的には、間島が最後はヘロヘロになっていたとかはあっても。



  だから肉体的というよりも、考えるフィットネス、知のフィットネス、あとはプレーの精度のフィットネス、スキルの精度のフィットネスの部分。それも体力的な部分にも掛かってはいるんだろうけど、そういったところはゲームリーダーなりなんなりが、声を掛けたりでカバーできると思うから、そういったところは変えていきたいね。ああいったしんどい場面で





―この2~3年勝ってきていない、頂点に立っていないから~というのはありますか




  それはあるでしょう。それが帝京とうちの大きな違いなんじゃないかな。たぶん、4~5年前だったらまったく反対の立場だった。帝京がリードしていても、向こうが勝手に崩れていく、みたいな

 
 




―この部分の持っていき方は。打つべき手。連続して終盤に逆転負けを喰らうなんてことは、ワセダの歴史上ほとんどなかったように思いますが




  まぁ、この間も言ったとおり、やれることを何でもやっていって、薄皮を剥ぐがごとく、変えていくしかない





―理屈ではない部分?




  タラレバを言えば、これは俺も反省しているんだけど、選手交替のタイミングであるとか、見極めであるとか、そういうところで俺自身がミスをしてしまった…。というのはあるにせよ、でも、それだけじゃないんだよなぁ…。じゃあ、足し算引き算、あるいは掛け算割り算でどうこうすれば、あの状況が劇的に変えられるかというと、そこは俺自身も自信を持ってこう!と言えるものはまだないかな





―ハーフタイムでの学生の様子は




  いやぁ、もう何て言うのかな、いけるぞって空気はあったけどね





―後半戦、ワセダ、帝京にそれぞれ変化を感じたところはありましたでしょうか




  後半の前半は、完全にワセダペースだったと思ってる。で、3つ目のトライ、後半最初のトライを取った時点で…、俺の本音を言うと、あそこは少し嫌な予感はした。あそこで14点差になってしまったことで、ワセダが気持ちの面で守りに入ってしまったということと、帝京が開き直ることができたのかなと


 




―スクラム、ラインアウトの評価に関しては



  んー、マイボールラインアウトは想定通り。スクラムは、キックオフミスの後の2本がすべて





―前回話に出たラインアウトは100%でした




  ここから先は修正というよりも、相手に対しての対応だから、たまたまか分からないけど、うまくいったということだね





―課題とされてきたアタックでは、これまでほとんど失点のなかったチームから27得点




  にしても、ミスは出てるから、そういったところをもう少し整理していけば、もっともっとよくなるんじゃないかな





―ボールをもっともっと動かせれば~なんて感じたりもしますが、いかがでしょう。帝京相手だからなのか…




  基本的には中盤でも、球出しのテンポが遅れたときには、積極的にキックオプションを使っていけという指示は出しているからね。やっぱりあのくらいの相手になると、一回でもブレイクダウンで煽られてしまうと、動かしづらくなるから、ある程度はしょうがない

 




 

―そのブレイクダウンは夏とはまったく違ったのではないでしょうか。組み立て、作り方、そこに至る過程含めて




  基本的には夏も前半は十分やりあえていたから…。まぁ確実によくはなっているんだけど(笑)、あのときがそんなにひどかったという印象は、実は俺はあまり持っていなかった。やられたのは、カウンターの後だったり、BKの大外のところだったり。そのふたつを重点的に強化してきたから、そこは練習の成果が出ていたんじゃないかな。どう?





―しつこくこられる局面が夏に比べたら断然少ないなと。それでも、圧力は受けていたのでしょうか?




  まぁ、上田に聞いたら全然いけるとは言ってたけどね





―ディフェンスに関してはいかがでしょう。27点取ったら勝てよと…




  当然そうだね。まぁ、そのうちの14点が最後の5分で、しかも微妙な…。というのはあるにせよ、課題はあるので、残された時間でしっかり改善していきます

 





―モールと近場で2本。ある程度は覚悟の上、想定の範囲内?



  あれだけペナルティを重ねてしまって、長い時間というか、あの場面でのセットプレーの回数を繰り返してしまうと、どうしてもこらえきれない、破られてしまうというのがあるし、そもそもあそこに来られる回数を少なくするのが大前提になるね。あのもみ合い自体のところは、細かいテクニカルな部分は色々とあるけれど、総じて十分渡り合えたという感触は学生自身もあると思うよ





―11番磯田選手にカウンターから2本大きくいかれたのは、かなりのダメージだったように思います




 あそこは痛かったねぇ…。練習でやってきた成果があそこに限っては全然出ていなかった





―純粋にチェイスが足りないのか、キックがネガティブで意図したものと違うからああなるのか




  間島のタッチキックは、状況的にFWがチェイスに行きづらいというのはあった。もう一本の方は、ちょっとお粗末…





―ラスト15分はプレーが小さいようにも見えました




  そこが守りに入って、硬くなったのと、考える力、あるいはスキルの精度のフィットネスが足りなかったというところじゃないかな

 






―FWが動けなくなっていた、ディフェンスに立てなくなっていたなんてことは…



  そんなことはないと思うんけどな。立ててなかったかなぁ。要はゲインされたときに立てないのはどの時間帯でも同じで、そのなかでもよく戻っていたとは思うけどね。あの逆転されたトライでも、ディフェンスは立ててはいたから





―硬くなってしまったというところ、こういったプレーが、選択ができていれば~というのは




  リードしているわけだから、相手を敵陣に釘付けにするでいいんだけど、キックを蹴るにしても、風下なのに足が縮こまっているし、逆にもうここは蹴っておけばいいところで~とか。そういったところが、考えるフィットネス、スキルの精度のフィットネスが落ちてしまっているんだよね





―最後のインターセプトを喰った場面、クイックリスタートの判断はどうだったのでしょう




  普段からノット10取れるところは積極的に行けと言っているし、必ずしも同点を狙いに行くのがいい判断かは少し微妙だし、あれはあれでいいと思うけどね。その後、ノット10を取れていたら、どういう指示を出していたか分からないけど

 


 



―最後のところは、帝京大に王者の~を感じたのでしょうか。最近よく言われる部分



  これがうちもきっちりプレーしていて、向こうがものすごい圧力を掛けてきてターンオーバーされて~という展開だったら、俺もそういう風に納得できるんだけど…、あのときワセダは相手と戦ってないから。だから俺は何とも言えない。あの時間帯に関して言えば、相手が帝京でなくても、あのくらい点は取られていた。あの状況のワセダだったら





―敗北を喫した後の学生たちの様子はどのように映りましたか




  何て言うんだろう。誤解を恐れずに言えば、すこぶる明るかったよ(笑)。しっかり前を向いていた





―この敗戦で得たもの、見えたものは。敗戦の受け止め方




  早慶戦、早明戦に向けて、メンバー構成のところは、最後のツメに入るというか、最後の検討段階だね。今年のチームの最終形が見えつつあるという感じ

 





―翌日のB以下のゲームに関しては



  今のケガ人の多さの状況から考えると、D以下は構成が苦しかったというのは正直あるし、Bチームに関しては、3日にすべてを懸けていたから準備が足りなかった点は否めない。もちろん、それにしても~の部分はあるけれど





―負け方はどれも同じと見ていいのでしょうか




  あの負け方はもうずっと一緒ですね。中盤でこらえきれずにペナルティ、自陣に入られてモール





―もう根本的な部分?




  ただ、Cくらいまでに関して言えば、1年前のまったく同じ時期の試合と比較しても、点数的にも特に後半の、ブレイクダウンの攻防にしても、これも負け惜しみではなくて十分進歩しているという実感はある。Cなんかは前半にあのシンビンがなければ、結構やれていたと思うけどね。あとは例のごとく、30人くらいの大量入替体制。Bに関しては、完全に準備不足の面が出てしまった

 






―ジュニア選手権は、まだ1,2位決定戦でリベンジのチャンスが残されています



  だから、Bは来週筑波に4トライ以上取って勝つというのが大前提になるけど、そこを乗り切って、決勝できっちり借りは返したい





―よく帝京大と戦う際、欧米列強と日本軍、みたいな話をされますけど、この週末はまさにそういったものだったと




  まさにそういう週末です…。中長期的には、組織としてどうしていくのか考えていかなくてはならない。今年に関しては、当然そんなこと言ってられないから、全力で勝ちにいきますが





―改めて、帝京大にはどんなことを感じましたか




  マジメだなぁ。マジメなチーム。これは何度も言うけど、特にFW前5人がよく走って、よくディフェンスして。素晴らしいなと

 





―筑波大戦の後、BK陣に対し「しばらく彼らと向き合っていきたい」と言われていました



  3週間ずっとついていたんだけど…、BKで崩してトライを取ったというところで評価してください(笑)





―筑波大戦の敗北は、身に沁みて感じられるという意義があった。この帝京大戦は




  それは今回も同じだと思いますね。首を括るくらいの~は言い過ぎだけど、そのくらいひとつのミス、ひとつの判断ミスの重大性を身に沁みて感じてもらわないと、ワセダの優勝はありえない





―対抗戦は早慶戦、早明戦が残されていますが、どんな意味を持ってきますか。伝統の戦い、ビッグゲーム、またチームが変わるチャンスだと思いますが




  恐らく精神的余裕はまったくないと思うので、今までどおり、筑波、帝京のときのようにいい準備をして、今度はしっかりと勝つ。もうそれだけですね
 

 

 



―前回話に出たベクトルの向きについては…



  若干上向きなんじゃないかな、筑波大戦のときよりも





―最後に、これから勝っていくためにワセダに求められているものを




  今回テーマのひとつとして、信じることと狂うことというのを挙げたんだけど、やっぱり狂いきれる人間は上から下までひとりも出てこなかった。そういった人間がチーム問わずひとりでもふたりでも出てきてくれたら、変われると思います

 

<ワセダクラブ事務所にて 帝京大戦を終えて>

 

<< 2012年11月  >>

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

アーカイブ

ブログテーマ

ブログ最新記事

ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol110 7/15の練習風景  2018/07/17(火) 09:54
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol109 7/1の練習風景  2018/07/13(金) 11:01
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol108 二都県大会遠征の様子  2018/06/25(月) 15:31
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol107 6/17の練習風景  2018/06/18(月) 16:41
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol106 6/10の裏側  2018/06/12(火) 12:11
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol105 6/3の練習風景  2018/06/04(月) 12:55
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol104 5/27の練習風景  2018/06/04(月) 12:00
フェンシングスクール通信 第19回東日本少年個人フェンシング大会で入賞  2018/05/28(月) 15:54
ワセダクラブM.F./G.B.情報 お問い合わせ先  2018/05/25(金) 17:05
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol103 5/20の練習風景  2018/05/25(金) 15:05
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.102 5/6の練習風景  2018/05/10(木) 16:47
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.101 4/29の練習風景  2018/05/01(火) 13:04
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.100 4/22の練習風景  2018/04/23(月) 11:02
ラグビースクール通信 ラグビースクール通信vol.99 2018年度開校式  2018/04/08(日) 14:01
フェンシングスクール通信 2017年目黒区フェンシング大会2名入賞  2017/09/21(木) 13:58
フェンシングスクール通信 2017年全国小学生大会入賞  2017/09/21(木) 13:56
フェンシングスクール通信 2017年杉並カップ ワセダクラブから入賞多数  2017/09/21(木) 13:54
フェンシングスクール通信 平成29年5月スクール通信  2017/05/26(金) 12:53
ラグビー レディース通信 ■Vol.235 2017.4.22 練習レポート  2017/04/27(木) 11:33
ラグビー レディース通信 ■Vol.234 2017.4.15 練習レポート  2017/04/19(水) 19:56