ブログ一覧

ブログ 2012/12

次へ>>

Vol.11 積み上げてきた土台と根幹―[後藤禎和 『緊張・継承・創造』]

投稿日時:2012/12/26(水) 10:31

 



  地獄からの生還、確かな手応え、『荒ぶる』ドラマ最終章へ…。対抗戦29年ぶりの3敗から揺るがぬ信で掴み取ったベスト4。チームの上昇に合わせるように、指揮官の心にもまた、変化が生まれていた。



 「準決勝を迎えるとき、どういう気持ちでいられるか…と言ったけれど、本当に落ち着けている。春に戻った感じで、すごくいい状態。今年やろうとするラグビーの土台と根幹が積み上がった以上、帝京とも真っ向勝負で戦える。絶対に勝ちます」。



 地べたを這いつくばり、もがき苦しみ、ついに辿り着いた約束の地。甦ったアカクロが、新春の国立を熱くする―

 





後藤禎和『緊張・継承・創造 Vol.11』

編集・疋田拡



 



―メリークリスマス。選手権が始まるとき、「よいクリスマスを~」と言われていましたが、実際いかがでしょう




 そのとおりになったんじゃないかな(笑)。こうして生き残れたんだから






―正月越えを決められた今、率直にどんな心持ちでしょうか




  どんな心持ちもクソも、はなから残るつもりでいたから。こうして準決勝を迎えることは大前提。


 
 ただ…春シーズンから夏にかけては、「監督になった今よりコーチ時代の方が緊張した」という話をよくしてきたじゃない。それが対抗戦が始まって、大事な試合が続くようになると、「やっぱりこれまでとは違うプレッシャーを感じるようになって~」と口にしたんだけど、今はそれがまた元に戻りつつある感じかな。春の頃のように、むしろコーチ時代の方が準決勝、決勝を迎えるときの緊張感はあったと思えて

 


201212261048_1.jpg


―その要因、思い当たる節は…



  恐らくコーチというのは、それぞれに求められる役割があって、そこの部分を完全に遂行しなければならないという責務がある。そこの部分だけを見て、じゃあ対戦相手と対峙したときにどうなのかという緊張感との戦い。



 監督となると、もう少し大風呂敷というか、全体を見る、そんな部分的なことだけではないからね。そうなると、やっぱり前回も言ったように、腹を括って、泰然としていなくてはならない。だから、そういう意味では、いい状態になりつつあるのかなと






―昨日の組み合わせ抽選会はどんなことを考えていたのでしょうか




 何にもなかったね(笑)。まぁ、あの場でも答えたんだけど、理想を言えば、打倒・帝京大で今シーズンをスタートした訳だから、最後に帝京に勝つというのが、ドラマとしては最高だよね。



 でも、帝京、筑波、東海。東海が仮に明治だったとしても、どこと当たっても実際に負けているし、負けに等しい試合をしてきているわけだから、どういう組み合わせになっても同じようなモチベーションで臨める。どこと当たったら有利とかそういうのはないから、どこと当たってもいいなと。そういった気持ちでした






―抽選と合わせてトークバトルもありましたが、こちらのデキは




  対戦相手に清宮みたいな奴がいたらもう少しおもしろかったかもしれないけどね(笑)。今までの経験から、俺はああいった場は慣れてない訳ではなかったし、聞かれたことに対して言いたいことは言ったつもり

 


201212261048_2.jpg




―他の監督さんは硬い感じだったのでしょうか



  んー、やっぱり(帝京大)岩出さんに勝ち続けてきたキャリアがあるなと感じたかな






―その岩出さんと言葉を交わしたりは




  もちろんしたよ。何か毎年、控え室で隣に座ったチームと当たるらしいんだよね






―その話、よくされています




  俺全然そんなこと知らなかったからさ(笑)。で、抽選で対戦が決まった瞬間に、その話を持ち出してきたんだよね。まぁ、いいんだけど(笑)

 


201212261048_3.jpg



―改めて、プール戦の3試合の総括をお願いします。展開力随一の天理大、大型かつポテンシャル抜群の流経大、FWに強い拘りを持つ大体大。タイプの異なる、信念のある3チームとの戦いでした。ワセダにとってどんな時間だったのでしょう



  すごくいい3試合でしたね。3チームとも決して弱い相手ではなかったし、それぞれに特徴があって、それぞれが持っているものを存分にぶつけてくれた。特に後半のところで。それに対してワセダは、ある程度しんどい経験ができた。でも、トータルで見るといい勝ち方ができた。そういった意味でいい3試合






―ここへきて練習の中身、取り組みが変わるということはあるのでしょうか




  それはないね。選手権に入ってからない~ではなくて、『早明戦』から決勝までずっと試合が続くから、もう早明ウィークからはルーティン。基本的に、試合何日前にこれをやって、これをやって~という仕上げ方をしていかざるを得ない






―選手権に入ってからの3試合、すべて『先手必勝』。早々に勝負を決めていますが、これは学生たちの変化なのか、何か感じるところは




  分からない(笑)。そこは学生たちに聞いてみて欲しいな

 


201212261048_4.jpg




―後半の部分についてはどう見てるのでしょう。改めて思うことだったり、改善への手だてだったり



  ここは…何とも言えないかな。例えば、一番顕著だったのは最後の体大戦。これが坂田監督のラストマッチで、もう試合は決まった状態、そうなったらもう選手は勝負度外視で開き直れる訳だよね。選手権というのは、ある瞬間からそう成り得る舞台であって…。



 そうなったときには、自分たちの強みを思う存分出してくる。一方で、こちらはもう勝ったと思ってしまっている訳だから、前半より受けに回ってしまうのは致し方ないところはある。でも、そこでいかに持ちこたえられるか






―本当に強いチームだったら…




  そこで2本、3本、4本トライを重ねてトドメを刺す。それが一番強いチームであるとは思うけど、現状のワセダだったら…。でも、そういった部分で考えても、3試合のなかで徐々に変われてきているとは思うけどね







―最近触れずにきていた、もうひとつの『数で勝つ』はいかがでしょう




  できつつあるんですよ。言わないですけど(笑)

 


201212261048_5.jpg




―アタックはずっと「まだまだ」、「ビデオで改めてチェックして」と言われてきました



  だから、ほんのちょっとずつ。実は体大戦のトライも、それが体現できているトライがあったし。あとは、これが帝京、筑波、東海相手にできるかどうか






―迷いなく~の部分は




  対抗戦の序盤に比べたら格段に解消されてますね






―そのなかでSOにイニシアティブを取れるようになって欲しいと言われてきましたが、小倉順平のことはどう映っているのでしょう




  ものすごくよくなりつつある

 


201212261048_6.jpg




―ディフェンスも整備されてきたイメージです



  そうね。勝負が決まるまでは、ほぼ完璧だと思うけどね






―天理大戦、流経大戦の後には、そもそものタックル、2人目のところを課題に挙げられていましたが




  そこも勝負が決まった後半以降の話だから。気になるかならないかと言われたら、そりゃ気にはなるけど、それがフィットネスのなさなのか、気持ちの緩みなのか…。準決勝以降に分かるでしょう






―近場で喰い込まれるシーンについては、相手の強みを考えたときにはある程度~というところでしょうか




 相手が拘っている部分で、本当に強いプレーヤーが来たら、ある程度喰い込まれるのは仕方がないかな

 


201212261048_7.jpg



―それでも、要所でのターンオーバーが目立つとも思います。レベルが上がっているのではないかと



  相手が強いところでのターンオーバーはなかなかできないだろうから、じゃあどこでするのかとなったら、強いプレーヤーが行ききった後の相手が振ってくるところ。そこでどうやっていいセットして、多少喰い込まれたとしても前に出てプレッシャーをかけられるか。もし見ていて、それができていると思えるのなら、練習の成果






―そのなかで両ロックは出色のデキのように…




 クソだね。彼らにはその一言だけ(笑)






―手塩にかけてこられたFWには手応えがあるのではないでしょうか




  まぁでも、明治・東海など見ていると、もう東海もここで勝負という感じで仕上げてきているんだけど……やっぱりワセダはワセダなりの仕上げ方をしてきたという自負はあるからね。それなりの手応えはありますよ

 


201212261048_8.jpg




―少しずつ上向いてきていると言い続けてこられましたが、改めて、準決勝を迎える今のワセダを言葉にして頂くと



  その少しずつが積み重なり続けると、言い始めの頃よりだいぶよくなっていると言えるかな(笑)






―今年のワセダについて改めて思うこと、勝ち方、あり方、確信、いかがでしょう




  それはもう、しょっぱなのときから変わらないと思いますね。FWの強みを生かしたセットプレーの安定とディフェンスの安定。それが大前提にあって、両翼、バックスリーの決定力で勝つ。そこが大前提にあって、それをぶれさせずに積み上げてきた結果が今のチーム






―選手権の頭では、「どこかで跳ね上がりたい」と言われていました。跳ねあがってはないけど…という感じでしょうか




  跳ね上がってはないよな、どう考えても…。本人たちはどう思ってるんだろうなぁ。最後に跳ね上がればいいのか。学生たちの映り方も、俺にとってはずっと変わらないんだよね

 


201212261048_9.jpg




―ケガ人はあっても、そのときそのときのメンバーで遜色ない戦いをしているのはいい流れだと思います



  そこはもう『早明戦』以降、ずっと試合が続くと分かった時点から30人体制。できれば、誰がどこでケガをしても、遜色ないチーム作りをしたいと思っていたからね。その点については自信を持っている






―叩き上げの選手たちもかなりきているのではないでしょうか。先日も1年生の滝沢が初めて赤黒に袖を通し、花園に立ちました




  シンデレラボーイだな(笑)






―コーチ陣のことはどう映ってるのでしょうか。グッとまとまってきているように感じます




  そうね。ここへきて、シーズンが深まってきて、一例を挙げれば武川とか長井とか、若手のBKコーチが…ってもうそうでもないのか(笑)、平日に時間を作ってグラウンドに来てくれているのはすごくありがたいし、助かってます。あとは、重厚なスクラムコーチ陣ね(笑)。コーチ陣の皆には感謝しています

 


201212261048_10.jpg




―準決勝の相手・帝京大の選手権に入っての印象は



  ノーコメント






―前回の対戦からちょうど2カ月、今改めて思う11月3日のワセダを




  まぁ、ワセダは未熟だったよね、ホントに…。と、いうように、パッと振り返ってそう思えるということは、今のワセダが着実に成長しているという証であると思ってます






―あのときとはまったく違う。何が違うのかと問われたら、何と答えますか




  何が大きく違うというのではなくて、ずっと今年1年間やろうとしてきたラグビーの根幹なり、土台なりが着実に積み上がってきた。2カ月前というのは、その部分がケガ人もあって、すごく未成熟で未完成で、それをある程度の選択と集中で、何て言うんだろう…見繕って勝負しようとした。その根幹の部分が積み上がってきた以上、あのときよりも真っ向勝負できるはず

 


201212261048_11.jpg



―勝敗を分けるポイントは



  やっぱりFW。特にセットプレー






―残りの時間、ワセダが成すべきことは




  対帝京だからといって、取り立てて今までと変わることはない。根幹の部分は絶対に変わらないから。そこのプラスαの部分、対帝京としてどういう戦いをするのかをしっかり準備して、いいコンディションニングで迎えること






―冒頭でも少し触れられましたが、「準決勝を迎えるときにどういう気持ちになっているか」と話されてきました。実際今そこに立ってみて、いかがでしょう。想像とまったく違う世界なのか、それとも…。ズバリ、今の自分を




  いや、あのとき「動じないでいられるか」と言ったけど、強がりではなくて、本当に落ち着いているね。そう言っていたから自己催眠にかかっているのかもしれないけど(笑)。落ち着いて迎えられている

 


201212261048_12.jpg



―同時に、ベクトルの話も常にされてきましたが、準決勝時にこうありたいと思い描いていたチーム像と、日々目の前にするワセダ、ギャップはありますか



  ベクトルの角度は上がらないんだけど、着実に思い描いていた姿に近づいてはいる






―最後に、支えてくださる方に伝えたいことがあれば




  この間と同じです。絶対に勝ちます


<早大ラグビー蹴球部クラブハウスにて 準決勝を前に>

 

Vol.117「組織のリーダー」[楕円球コラム 「スタンドから」]

投稿日時:2012/12/25(火) 13:35

 組織におけるリーダーとはどうあるべきか。
 ここで言うリーダーとは、必ずしもチームのキャプテンを指すものではない。人が複数集まれば、そこにはリーダー的存在が自然発生的に生まれる。本人、あるいは組織構成員が意識するかしないかに関わらず、それは存在することになる。
 例えば、FWが集まればFWのリーダー的存在が必ずいる。ポジションでも、ユニットでも、学年でも、あるいはたまたま座った食事の席であっても、その場をまとめるまとめ役が自然に生まれ出る。その場の雰囲気、空気感のようなものが、濃淡はあれども、まとめ役のカラーに染まっていく。

 たまたま座った食事の席ならたいした話ではないが、目標をもった組織の場合、このリーダーの存在は大きい。

 ビジネス誌などに載る紋切り型のリーダー論に、「牽引型リーダー」がいいか、「調整型リーダー」がいいかなどというものがある。ここからさらに、「昭和の時代には牽引型が機能したが、平成の時代には調整型こそが機能する」といった論調へと流れる。紋切り型がさらなる紋切り型を生むことになる。

 念のため確認しておくと、「牽引型リーダー」とは「黙って俺についてこい」というような、組織の構成員をぐいぐいと引っ張っていくようなリーダーのことだ。おそらく、多くの人がもつリーダーのイメージはこの「牽引型」だろう。
 もう一つの「調整型」は「牽引型」とは逆に、組織の構成員の自主性を重んじ、問題が発生したときに調整役となるリーダー像だ。

 さて、先日、あるホテルの料理部門で総料理長を務めているかたにインタビューする機会を得た。総料理長とは、和食、洋食、中華といった部門全体を統括する、そのホテルの料理部門の最高責任者である。
 満室になると宿泊客の数は1000人を超え、さらに宴会場があり、パーティや披露宴なども行われるというから、それなりに大きなホテルだ。ホテルによっては、責任者が何人もいて交替で仕切るところもあるようだが、このホテルにはそうしたシステムはない。総料理長は毎日、どの場面においてもただ一人の総料理長である。

 この総料理長のリーダー論がおもしろかった。おもしろかったというのは失礼かもしれない。とても、深いものを感じたという意味だ。
 10代で料理の道に入り、厳しい環境で修業をしてきた。ときには、先輩たちの理不尽なしごきもあったが、それもすべて自らの糧にして力をつけていったという。

「ずっと昭和型のスパルタ指導、誰も教えてくれない『背中で学べ』式の指導の中で育ってきました。料理の世界ではそれが当たり前でした」

 しかし、この総料理長、いまは1年目の新入社員に対して、大事なことは直接指導して教えているという。
「自分もこうした基本を教えてもらっていれば、もっと早く伸びたと思うので。新人教育全般は中堅どころの部下に任せていますが、私が大事だと思うことは自分で伝えないといけないので、そこは部下任せにはしません」

 総料理長は「牽引型」なのか「調整型」なのかが気になって尋ねてみると、こういう答えが返ってきた。
「どちらでもないですね。基本は自主性を重んじますし、部下のいいところを探し出して褒めちぎりますよ。でも、ギリギリになってから提案されたことはすべて却下です。『ギリギリになったら俺が決めちゃうよ』と言っています。お客さまのことを考えたら、間に合わないということだけは絶対に避けなければなりませんから。あと、お客さまのためにならないこと、食中毒の可能性が生まれることに対しては徹底的に叱ります。いいことは全力で褒め、ダメなことは全力で叱りますよ」

 こんなことも言っていた。
「上司はね、完璧じゃないほうがいいんですよ。みんな、完璧に見せたがるでしょ。でも、完璧な人なんていません。だったら、先に弱みを見せてしまったほうがいい。そうすると、部下が支えてくれるんです。『こことここは俺に任せろ。でも、ここは俺よりおまえのほうが優れているから頼む』。こうすると、部下たちが下から自分を持ちあげてくれるようになるんです。うまく組織運営できるかどうかは、結局は、組織の長がその組織の人たちに下から支えてもらえるかどうかなんだと思います。そういう意味では、私は『牽引型』でも『調整型』でもなく、『神輿型』のリーダーですね。下からみんなに支えてもらわないと何も動けない。でも、これが組織としては一番うまくいくんじゃないかと思うんです」

 おそらくどれがいいとか、どれが悪いということではないのだろう。「牽引軸」「調整軸」「神輿軸」の3つの軸をうまくバランスよく活用していくリーダー。状況に応じて、使い分けられるリーダー。そんなリーダーがいる組織は強い。
 いくつかの強い組織を見ていつも思うのは、「リーダーに偏りとか、既成概念がない(少ない)」ということだ。この総料理長も、通常は「牽引型か調整型か」という二者択一を迫られるところで、「別の選択肢はないか」と考えて、新たな軸が出てきた。
「これが正しい、唯一絶対の方法だ」と思った瞬間に、大事なことがするりと抜け落ちていく。紋切り型に騙されてはいけない。常に既成のものを疑い、常に「別のものはないか」と疑うことで、バランスの取れたいい状態が保てるに違いない。


※今回をもちまして、「楕円球コラム」はしばらくの間、休載となります。ありがとうございました。

 

ラグビースクール通信 vol.73 2012年度 新人大会[ラグビースクール通信]

投稿日時:2012/12/21(金) 11:44

新チームで挑む新人大会。
中学3年生の含まれない1、2年生だけの新チームとして、初めての大会です。


12月2日(日)

      ワセダクラブ     ベイ東京
前半    5(1T0G)                  5(1T0G)
後半    0(0T0G)                19(3T2G)
合計    5(1T0G)                 24(4T2G)

201212261530_1-300x0.jpg   201212261530_2-300x0.jpg
201212261530_3-300x0.jpg   201212261530_4-300x0.jpg


12月9日(日)

      ワセダクラブ     世田谷・杉並
前半    7(1T1G)                19(3T2G)
後半    0(0T0G)                19(3T2G)
合計    7(1T1G)                38(6T4G)

201212261530_5-300x0.jpg   201212261530_6-300x0.jpg
201212261530_7-300x0.jpg   201212261530_8-300x0.jpg

試合を終えてみて、改めてミーティングもありました。
201212261530_9-331x242.jpg


それぞれ個々の、また、チームとしての問題点がいろいろと見えてきたようです。
どのチームも新しくなったばかりの、これからのチームです。
春の大会に向け、さらに頑張って下さい!

Vol.117 「愉快に熟慮せよ」[楕円球コラム 「楕円球は呼ぶ」]

投稿日時:2012/12/19(水) 12:02

学生時代、西早稲田の喫茶店兼食堂兼酒場『カントリーハウス』でラグビー部の練習の合間のアルバイトに励んだ。ひとつ学年が下、政経学部を蹴って教育学部の体育専修を選んだフランカー(現在はアフリカ大陸マラウイで一品一村運動を指導)、当時の早稲田としては珍しい強豪校出身のウイング(広告代理店勤務)といつも一緒だった。ランチタイムの給仕をおもな仕事としていた。

職場の同僚のいわゆる一般学生は教育学部地学科の連中が多く、みんな変人ぞろいでウマが合った。千葉県出身のMは、高校時代は柔道部、利発で器用で、白い長靴を履いて厨房を任されていた。いっぺん北海道の山での野外フィールドワークのさなかにスズメバチに襲われて大変な目に合ったことを除けばパニックとは無縁、常に沈着冷静な男だった。

Mは卒業後に大手の電気通信メーカーに入った。そこで会社のラグビー部へ飛び込む。学生時代、バイト先の店のチームをつくって、我々ラグビー部員が指導にあたり、たまに夏休みなどに練習をしていたが、まあシロウトである。しかし、さすが名アルバイト、いつの間にかキャプテンになって、ある年には、カントリーハウスに入りびたっていたラグビー部のロックが進んだ準強豪の建設会社チームに勝ったことがあるらしい。いつか仲間が集まって、その話になり、「体育会、喫茶店のアルバイトに敗れる」で大笑いした。「あいつの青春は何だったのだ」と。

そのMがある夜、酒を飲んでいると、こう言った。「俺の会社のチームには強い大学のラグビー部出身者がけっこういるが、みんな頭が固くて」。Mはもともとは理科系のせいか、グラウンドで相手の陣形を観察すると「こうすればここに穴ができて抜ける」とひらめく。練習中にその経験をもとに新しい攻撃法を提案すると、実験もせずに否定されるらしい。先入観と慣習のワナに賢者は気づいていた。

あれからざっと四半世紀、いまの大学ラグビーを眺めても、まだまだ「新たなアイデア」の余地はある。昨今の世界を席巻するディフェンス法があるとして、それは現在の一般的な攻撃法を防ぐために構成されているのだから、違う発想なら抜けるはずなのだ。今季、トップリーグでも王者サントリーと類似する攻防がやけに目立つ。チャンピオンと同じ練習をしたらチャレンジャーはいつまでも追いつけない。たぶん会社で偉くなっているだろうMなら何かを考えつくかもしれない。

戦前の早稲田大学主将、故・川越藤一郎さんはルールブックを精読して「シャローディフェンス」を着想した。たとえばモールやスピンパスのようないまでは当たり前の方法にしても、ラグビー競技が始まって何十年もたってから世界の誰かが気がついた。

9年前の本コラムの第1回に、早稲田大学ラ式蹴球部の部誌『鉄笛』の創刊号からいくつかの文章を紹介した。創部から7年、1925年の先達はすでに慣習を戒めている。もういっぺんここに引きたい(一部省略・仮名遣いなど改変)。

「洗練された敵に対する場合なれば、巧妙なる攻撃に対して巧妙なる防御をもってしても勝負はつかぬ。キャッチボールのようなものである。機械的、常套的な戦法の外に、機に臨んで敵の意表に出づる戦法でなくてはならない」

2012年暮れ、主張はいまだ有効である。ペンネーム「我美生」氏は、この文に続けてこうも述べている。

「いたずらに危険をおそれて堅牢なる城廊を一歩も出得ぬようでは遂に名をなすこと、限りある時間をもって成し得ぬ」

赤黒の後進のみならず、すべての若きラグビー人に捧げたい言葉だ。

特別編 流通経済大戦を終えて[後藤禎和 『緊張・継承・創造』]

投稿日時:2012/12/17(月) 09:37





201212170945_1.jpg



 点差が開いた途端、緩くなってしまったというのが、今日の試合の率直な感想です。先週と同じ現象が起きてしまいました…。


  2人目のところを課題に挙げたディフェンスについても、先週の試合と基本同じ。先週ほど弾かれてはなくとも、今日は引きづられてしまっていた。 点差が開いたからのなのか…「気持ちのところ」というのはなくなないと思います。30分までは非常によかったですから。


 天理大戦とはまた違う難しさとなった大きなFWへの対応に関しては、何とも言えません。後半だけを見たらちょっとよくなかったかなと。先週ビデオで見て検証~と言ったアタックについても、後半はイマイチ。ただ、前半攻める方向が統一されていたのはよかったと思います。


 後半が…という話ばかりをしていますが、『先手必勝』を掲げている点からすれば、今日の流経大戦も、先週の天理大戦も、満足はしています。前半でケリをつけてしまうというのは、ひとつの理想です。


  来週の大体大戦は、恐らく坂田先生の公式戦ラストマッチになるかと思いますが、そんなシチュエーションで対戦できることは光栄です。 ワセダとしてはもちろん、私個人としても、非常に思い入れのあるチーム。そのシーズン一番苦戦した大学4年生のときの準決勝は今でも忘れられません。 経験からいってまったく気を緩められない相手。ここから更にいい準備をして、お互いいいプレーをして、坂田先生のラストにふさわしい試合ができればと思っています。


  今日の後半の停滞がなければ、常々話しているベクトルの角度が上向いたと言えたのですが…。引き続き緩やかな角度です。
次へ>>

<< 2012年12月  >>

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

アーカイブ

ブログテーマ

ブログ最新記事

フェンシングスクール通信 2017年目黒区フェンシング大会2名入賞  2017/09/21(木) 13:58
フェンシングスクール通信 2017年全国小学生大会入賞  2017/09/21(木) 13:56
フェンシングスクール通信 2017年杉並カップ ワセダクラブから入賞多数  2017/09/21(木) 13:54
フェンシングスクール通信 平成29年5月スクール通信  2017/05/26(金) 12:53
ラグビー レディース通信 ■Vol.235 2017.4.22 練習レポート  2017/04/27(木) 11:33
ラグビー レディース通信 ■Vol.234 2017.4.15 練習レポート  2017/04/19(水) 19:56
ラグビー レディース通信 ■Vol.233 2017.3.25 練習レポート  2017/03/30(木) 17:45
ラグビー レディース通信 ■Vol.233 2017.3.18 練習レポート  2017/03/24(金) 13:46
ラグビー レディース通信 ■Vol.232 2017.3.11 練習レポート  2017/03/21(火) 15:46
ラグビー レディース通信 ■Vol.231 2017.3.5 練習レポート  2017/03/06(月) 12:24
ラグビー レディース通信 ■Vol.230 2017.2.18 練習レポート  2017/02/27(月) 16:52
ラグビー レディース通信 ■Vol.229 2017.2.25 練習レポート  2017/02/27(月) 11:02
フェンシングスクール通信 平成29年2月スクール通信  2017/02/17(金) 11:23
ラグビー レディース通信 ■Vol.228 2017.2.11 練習レポート  2017/02/17(金) 11:18
ラグビー レディース通信 ■Vol.227 2017.1.28 練習レポート  2017/01/30(月) 17:49
ラグビー レディース通信 ■Vol.226 2017.1.14 練習レポート  2017/01/30(月) 11:48
ラグビー レディース通信 ■Vol.225 2016.12.10 練習レポート  2016/12/19(月) 11:42
ラグビー レディース通信 ■Vol.224 2016.11.26 練習レポート  2016/12/02(金) 16:37
ラグビー レディース通信 ■Vol.223 2016.11.19 練習レポート  2016/11/21(月) 13:54
ラグビー レディース通信 ■Vol.222 2016.11.12 練習レポート  2016/11/17(木) 12:29