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特別編 予餞会を終えて[後藤禎和 『緊張・継承・創造』]

投稿日時:2013/02/07(木) 19:48




 新チームが始動して既に一カ月経っているので、正式に監督留任が決定しての特別な感情はありませんが、今改めて、今シーズンの重要性、昨シーズン以上に、今季勝つことの重要性を感じています。



 覇権奪回のためには、フィジカルとメンタルを、今まで以上に鍛えなくてはなりません。体を大きくするのも、心を強くするのも、まずは私生活、就任以来口にし続けてきた「自律」するところからになりますので、その部分を徹底的に指導していく心づもりです。既に新たな取り組みも始めていますが、例年負けた直後というのは集中できるもの。この一カ月、新4年生を中心に間違いなくいい雰囲気でしっかりできてきたことを、この先も継続して、いかに集中していくかが勝負だと思っています。



 新主将の垣永は、1月2日の準決勝を見ていても分かるように、しんどいときに最後まで戦える、戦えていた男です。本当にしんどいときにがんばれる、チームを引っ張っていくことができる。逆にチームがいい状況のときには、その存在感が分からないかと思いますが、しんどいときにこそ吠える、頼りになるリーダーです。



 昨シーズン終了時にお話ししたことと同じになりますが、監督の役割は、グラウンドでのコーチングと組織全体のマネジメント。昨年とは異なり、今シーズンは準備期間がたくさんあるので、そこで妥協をしない。スタートが早い分、ときには後ろ倒しすることも可能だと思うので、諸々しっかりとチェックしながら、慌てずじっくりやっていきたいと思っています。



 目標に向かって目一杯考えて、努力して、最後まで諦めないのがワセダの伝統。我々はひたすらそれを追求し続けますので、そのなかで、近年帝京大に劣っていると言わざるをない部分、自律、精神の成長を促す面については、皆さん遠慮なく指摘なりしてください。もしそこで弱い部分が見えたら、叱責してください。

特別対談・後藤禎和×岡村猛×佐々木孝樹 ワセダの今―[後藤禎和 『緊張・継承・創造』]

投稿日時:2013/02/01(金) 14:54


 

 各方面でプロ化、スポーツの更なる振興が叫ばれるなか、長らく日本でその中枢を担ってきた「大学スポーツ」の存在意義はどこにあるのか、ワセダとしてのあるべき姿は……。



 11月某日、日本のスポーツ改革を掲げる『ワセダクラブ』事務局長にして、ラグビー蹴球部監督である後藤禎和が、野球部・安部寮に岡村猛監督、佐々木孝樹主将を訪ね、特別対談が実現した。



 

 それぞれが熱き想いをぶつけ合うこと、実に1時間半。最前線で戦う3人の言葉を紡ぐと、その答えがハッキリと見えてきた。人間教育、たゆまぬ精進…。まさに、仰ぐは同じき理想の光。ワセダだからこそ、やらねばならぬことがある―



 

<ワセダクラブ特別対談>後藤禎和×岡村猛×佐々木孝樹
 



 
*この対談は11月某日、ワセダクラブ事務局長・後藤禎和が野球部安部寮を訪れ実現したもので、今回の更新は、先のワセダクラブ会報誌に掲載されたもののノーカット版になります。



 

 



 
―お二方には、日頃から親交があると伺っています



 
岡村:今年の3月に、私の方からラグビー部の取り組み、考え方等について勉強させてくださいということで、上井草の方にお邪魔をして、少し情報交換といいますか、ラグビー部で考えていること、やられていることについて教えてもらいながら意見交換をさせて頂いたんです



 
後藤:その日に懇親もさせて頂きましたし、それを受けて、今度は7月に私の方から野球部の練習を見学させて頂きました
 




 
―まずは野球部の今季についてお聞かせください。すべてを終えられた今、どんなことを思われているのでしょうか


 

岡村:もう悔しさしか残っていないですね。春は優勝できましたけど、秋は優勝できなくて、まず悔しいというのが第一に思う気持ちですね。もうそこは、悔しさは悔しさとして残ってはいるんですけど、切り替えて、今は来シーズンに向けて始動しているところです
 


 

―佐々木主将はいかがでしょうか。戦列に戻れず、苦しさもあったと思いますが



 
佐々木:やっぱり試合に出られなかったのは、悔しかったですね。でも、最後に完全に治ってはいなかったんですけど、監督さんであったり、チームメイトであったりが支えてくれて、試合にも出させて頂いて、悔いがないと言ったらウソになりますが、いい大学4年間だったなと思っています



 
後藤:秋のシーズン、キャプテンの自分が出られないというところで、背負っている立場として、心掛けたこと、取り組んだことは何かありますか?


 

佐々木:内野手に関しては、副将である杉山(翔大)や地引(雄貴)がいたので、気にしていなかったんですけど、外野手は自分がまとめている立場だったので、全体をまとめながら、重点的に見るようにはしていました。指示であったり、癖を教えるであったり


 

 
―早慶1回戦、代打で登場した際には、神宮が大きな歓声に包まれました。あのときは何を思ったのでしょう



 

佐々木:やっぱり嬉しかったですね。戻ってこられて嬉しかったというのと、すごく温かい声援を送ってくださった神宮の皆さんに感謝しています


 
 

―岡村監督はどういった思いで送り出されたのでしょうか



 

岡村:万全ではないけれど、ワセダのユニフォームを着て、神宮のグラウンドに立つこと。佐々木は元気ですよというのを、ファンの皆さん、学生の皆さんに知って頂きたかったというのもありますし、やっぱりベンチに入るだけではなくて、本人もゲームに出たいだろう、私も出してやりたい、というところからですね。展開にもよるので、なかなか難しい部分もありましたが、タイミング良く出せる機会がありましたので。本人としたら万全の状態で出たい、こちらも出したいという思いはありましたけど、もうラストシーズンのラストカードでしたし、無理をして出てもらいました
 
 




―秋は優勝を逃して迎える『早慶戦』になりましたが、気持ちの切り替え、モチベーションの維持はうまくできるものなのでしょうか。例えば、ラグビー部であれば、いかなるシチュエーションでも、『早慶戦』の先にまだシーズンが続きますが、今回のような場合は、最大目標を失った状態、もう本当に目の前の戦いだけです




 
岡村:常々言っているのは、我々の目標は、リーグ戦の優勝、日本一になるということと、あとは、対抗戦として慶應大学に勝って、勝点を取ること。このふたつを大きな目標として捉えておりますし、選手たちにもそういった目標について話をしておりますので、リーグ戦の優勝がなくなったら、すべての目標がなくなるということはありません。


  優勝はできない。でも、慶應には勝って勝点を取るという大きな目標がありますので、そこにモチベーションを持っていく。特に春、優勝はしましたけど、慶應には勝点を奪われて、十分に喜べる優勝ではなかったというのがありますので、みんなが「よし、慶應には絶対勝つぞ!」という意気込みで臨んでくれたと思っています


 


 
―チームをまとめていくキャプテンの立場では




 
佐々木:特別自分から何か言わなくても、慶應はすごく意識する存在ですし、自分たちの学年としても4年間で慶應に負け越している、さらに春にも負けているということで、「絶対慶應には勝つ!」という気持ちでした。自分から何か言ったわけではないんですけど、しっかりモチベーションを維持したまま、練習に取り組めたと思います

 


 
 その成り立ち、激闘の歴史から、大学スポーツ界の象徴とも言える『早慶戦』。ここからワセダとして―の熱き想いがぶつかり合い、話はそれぞれの部の誇り、存在意義、神髄にまで波及していく―

 
 

 
―『早慶戦』とは…と問われたら、何と言葉にされますか





 
岡村:んー、表現難しいですねぇ。よく出ているような絶対に負けられない戦いというのが、『早慶戦』かなと。そういうことだと僕は思っているんですけど。佐々木はどうなのかな?(笑)




 
佐々木:僕も監督と同じで、絶対に負けられないという気持ちと、絶対に負けたくないという気持ちがあります。特に僕は高校からワセダ(早実)で、その頃から慶應との定期戦をやっていたので、そういった気持ちは強いです。本当に負けたくない、負けられない試合




 
岡村:ラグビーにも、それぞれの物の本質、理念の違いというのがありますよね。それが野球ですと、ワセダの場合は、入ってきたところにも胸像があったように、飛田先生(穂州=元野球部監督、学生野球の祖と言われ、野球殿堂入り)の『一球入魂』の野球、魂の野球と言っていますし、慶應は『Enjoy Baseball』、ノビノビ野球と言っている。そういったひとつのスタイル、カラーの違いもあるので、日本の学生野球を二分してきたお互いのリーダーがどういう野球で戦うのか、日本の学生野球の本当の神髄がどちらにあるのか。僕はその両方だとは思うんですけど、そこで雌雄を決するという戦いでもある。そんな風にも思っています。


  恐らくラグビーでも、ワセダと慶應のそれぞれのスタイル、カラ―、シンボル的なものの違いがあって、そのぶつかり合いだと思うんですよね。そういった思いも僕は持って戦っています。ノビノビ野球とか、Enjoyとか、負けてられるかと(笑)。たしかに、スポーツの本質はそうなのかも分からない。でも、日本の野球の場合は「いや、違う」、学生野球の場合は「いや、違うんだ」と。そういったところの神髄、シンボル的なものの戦いでもあると、僕は思うんです




 
後藤:ラグビーの場合は、もちろん『早慶戦』も他の部と同様、すごく歴史のあるものなんですけど、もうひとつ『早明戦』というものがあり、そちらのウエートもものすごく大きい。そこが違いだと思うんですよね。今おっしゃられたイデオロギーの違いというか、目指しているものの違いというのは、むしろ『早明戦』にあって。明治が目指しているのは、大きなFWでタテ、タテ。それに対してワセダは、小さい体で揺さぶっていく。正直、僕自身が学生のときは、慶應が若干低迷していることもあって、盛り上がったのは『早明戦』でした。


  むしろ卒業してから、今の仕事をするようになって、色々な部の方と、あるいは慶應の方とお話する機会をたくさん持つようになって、『早慶戦』の意義、本当にリスペクトできる相手であるということが、身に沁みて感じられるようになりました。もちろん、明治も同様に。加えて、ラグビーに関して言うと、野球の場合と真逆なんですね。慶應のラグビーというのは、もう魂のラグビー。魂のタックル。慶應もやっぱり体が小さいですから。僕が思うに、体がない分、頭を使って、明治や、今で言えば帝京に戦いを挑んでいくというところで、すごく共感できる。そういった意味で、リスペクトできる相手というのはあります



 

岡村:でも、不思議なんですよね。この間の『早慶戦』を見ていて、ゲームセット、ラグビーではノーサイドと言ってますけど、それは野球でも同じで、お互いの4年生が握手をしたり、抱き合ったりしていたんですよ。そういった光景を見ると、やっぱりスポーツは終わったらノーサイドやなと。


  お互いに敬意を表する。「ようがんばったな。俺らもがんばったけど、お前らもがんばったな」という思いが、特に早慶の間にはあるんでしょうね。リーグ戦の最後のゲームにもなりますし、秋の『早慶戦』は、4年生としても最後ですから。お互いの健闘を讃え合うシーンがあったので、やっぱりいいライバル関係だったんだなと思いましたよ

 
 




 
―確かに印象的なシーンでした。慶應のメンバーとはどういった言葉を



 

佐々木:4年間お疲れ様というのと、慶應のキャプテンも社会人で野球を続けるので、そこでもお互い盛り上げられるようにがんばろうって
 




 
―ワセダと慶應、日頃からの特別な関係が伺われます



 

佐々木:はい。ケガしている間、慶應のキャプテンの奴はお見舞いにもきてくれましたし、常々かなり交流はしています



 

 
―学生時代、そして監督になられてから、たくさんの『早慶戦』を経験されてきたと思いますが、昔から変わらないもの、変わってきたと感じるものはありますでしょうか
 




後藤:もちろん、学生の気質は変わってきているんだろうけど、基本的には変わってないんじゃないかな




 
岡村:やっぱり、お互いに負けられない、負けたくないという思いは変わらないと思うんですよね




 
後藤:特に慶應のワセダに対する…。ラグビー部の場合は、慶應、明治の両方なんですけど、慶應にとっては、もうワセダだけなんですよ。そういったものはすごく強いかなと




 
岡村:先日、あるテレビの番組が『早慶戦』を特集するということで、取材にも来て、色々と映像を流してましたけど、やっぱり見ると、慶應も同じような気持ちで『早慶戦』に臨んでいるんですよね。うちだけが慶應に対して、負けられないという気持ちでやっているのではなくて、慶應もワセダに対して同じように取り組んでいるのを見て、お互い経緯を表して、リスペクトして戦いに臨んでいるんだなというのが、改めてよく分かりました




 
佐々木:慶應は『早慶戦』ではなくて、『慶早戦』と呼びますもんね。そのくらいの気持ちを持っている。それはすごく伝わってきます
 





 
―『早慶戦』前に行う儀式、伝統みたいなものはあるのでしょうか




 
佐々木:野球部では特別なことはないんですけど、応援部がいつも本部キャンパスからここまで走ってきて、「紺碧の空」を歌ってくれるというのはあります




 
後藤:高田馬場から走ってくるということ?




 
佐々木:はい(笑)




 
岡村:大変みたいですけどね(笑)




 
後藤:ラグビー部は試合前練習というものがあって、練習自体は同じことをやるんですけど、『早慶戦』、『早明戦』の前は、タックルダミーに相手のジャージーを着せてタックルに入ったり、ミーティングで寄せ書きをしたりしています
 




 
―先ほど、『早慶戦』の意義についてお話くださいましたが、その成り立ちや歴史など、学生たちに伝えるような場、機会は持たれているのでしょうか。野球の場合は、ワセダから挑戦状を送りつけたという話が有名です




 
岡村:僕が就任したときに、野球部の「建部精神」というものを部員たちには、読んで話をしました。こういったものがあるんだと。だから我々はこの「建部精神」というものを、もう一度理解して野球をやっていかないかんと。そういったことは言いましたし、クラブハウスの2階に、1901年からの年表、写真が掲示してあって、その挑戦状と言われるもののコピーも、そこで見られるようになっています。ただ、それが達筆すぎて誰にも読めない(笑)。何て書いてあるのかほとんど分からない。


  でも、一般的には挑戦状と言われているので、どうしてもその響きから、対等な関係で、「おぉー、戦おうやないか!雌雄を決しようやないか!」というようなイメージを持たれるんですけど、決してそんな大それたものではなくて、「教えを請いたい。是非お手合わせして頂いて、教えてください」というものなんですね。気持ちは違ったかも分かりませんよ。本音では、「やったろやないかい!一発かましたろ!」という思いで書いたのかも分からないけれど、非常にへりくだって、相手に敬意を表しながら、教えてください、お手合わせお願いしますと。


  僕もあの達筆な字が読めないから、そのくらい強気でいったんだろうと思っていたんですけど、ちゃんとちゃんと読むと、「やってください、お手合わせしてください」という内容でした。そういった歴史についてOB会で作った本があったので、それを部員にも配って読ませたり、OBの方に来て頂いて、野球部の歴史等について講話してもらったり、そういったところから学んでいるということですね
 



 
―佐々木主将はそういったお話を聞いたとき、何を感じられましたか
 



佐々木:歴史があって、伝統を守らなくてはいけないという思いは、1,2年生の頃からありはしたんですけど、正直…。岡村さんが監督になられてから、そういった取り組みが始まって、色々と話を伺い、本を読ませて頂いたことで、歴史、伝統への想いがより強くなりました。ワセダはやっぱり他の大学とは違うんだと。しっかりとした自覚を持って、常日頃からの行動を見直していかなければとならないと思うようになりました
 



 
―ラグビー部の方は…




 
後藤:やらなきゃだね(笑)。僕は一時、近代スポーツの歴史を勉強したことがあるんですけど、結局大学から入ってきてるんですよね、明治の時分に。その先陣が慶應大学で、ラグビー部としてもやっぱり慶應に追いつけ追い越せで始まった。恐らく、どの競技種目もそういった図式があって、大学同士の存在がすごく対照的なことも相まって、『早慶戦』の歴史、伝統が培われてきたというイメージは持っています
 
 




 やはりそこは、長年ワセダを背負ってきた両雄。指導者論、選手の育成、人間教育、誇るべき伝統のなかで培われてきた文化は、共通するものが多々あった―
 
 



 
岡村:僕は後藤さんの考えに共鳴し、素晴らしいなと思うのは、なぜワセダでラグビーをやるのか、君たちはここで何を学んでいくのかというところで、社会に出たときにリーダーにならなくてはいけないと明確にされていることなんですね。それが目的。目標はまた日本一だとかあると思うんですけど、そういった目的が非常に明確で、そのためのミッションも明確にされているところが、素晴らしい。


  何となく、ラグビーすることが目的、ワセダのあのジャージーを着ることが目的みたいになっているなか、そうではないんだと強調して、指導されている。そのなかで、どういった歴史があったのか、どういった理念があったのかといったところを説明されて、分かりやすく指導されている。今までそういった指導があまり明確ではなくて、何となくラグビーをやっていればいいような感じだったかも分からないけど、敢えてその部分を明確にされたところが、僕は共鳴できるし、素晴らしいなと思っているんです




 
後藤:年によって増減はあるんですけど、やっぱり推薦等で強豪校から入ってくる学生が増えてきているなかで、今おっしゃられたような、ラグビーをすることが目的、ラグビーをやっていればいいんだ、試合に出られればいんだ、勝てばいいんだと。そんなつもりではないのかもしれないけれど、そういった比重が高くなってしまいがちな学生が増えている。


  やっぱり大学スポーツなので、教育という部分から絶対に目を離してはいけないと僕は思っていますし、そういった意味でもラグビーは『早慶戦』、『早明戦』というビッグゲームが、言い方は悪いかもしれませんけど、人間育成を促す意味でも貴重なツール、大きく変われる場だと捉えています。単にその試合に勝って優勝とか、そういったことではなくて、その伝統の戦いを経験する、大観衆の前に出る。ありがちな話で、前評判が高い方が苦戦するんですよね。そういったところで、普通の試合とは違う何かを感じる試合でもあります




 
岡村:学生スポーツは特にそういった部分、気持ちの部分が非常に大きく結果を左右していくと思いますね。技術だけですべてを決するというものではなくて、最終的には思いや執念といった気持ちの部分が大きなウエートを占めてくる。これはどのスポーツにも共通していることなんでしょうけど。特に力が互角であればあるほど、気持ちの部分が左右してくるのかなと。そういったときに、あの大観衆の前で、切羽詰まったときに、人間性、その人間の本質がプレーに出てくる
 




後藤:本当にそうですね。まさしくそこの部分が、今年のチームのちょっと弱い部分なので…。是非この『早慶戦』、『早明戦』で変わりたいですね




 
岡村:やっぱり我々も、昨年からラグビー部の試合に足を運ぶのは、ワセダの選手が、慶應、明治を相手に、ボールに対してどう体を張っているのか、どうプレーしているのかというところを、直接見るためなんですね。スポーツとしては違うのかもしれませんけど、一球に対する思いは共通しているものがあるだろう、勝利に対する思いは共通するものがあるだろうと。そういったところを勉強するために応援に行く。ラグビーの場合には、特にそれができると思っていまして




 
―そういった意味でも、先の『早慶戦』では、野球部としての集大成が見せられたのではないでしょうか。見事な連勝でした




 
岡村:んー、見事な連勝だったかは分からないですけど、やっぱり彼らの勝利に対する気持ち、執念というのが、点差として勝利に繋がったという風に思っています。決して褒められた野球だったとは思ってないんですけど(笑)。内容としては、非常に不満の残るゲーム内容ではありました。ただ、内容がいくらよくても、負けたら何にもならんのであって、最終的には勝利する。1点差でも勝利する。そういったところでは、非常によかったとは思っています


 

 
―キャプテンの立場からはいかがでしょう。非常に粘り強い、いやらしい野球という印象を受けました




 
佐々木:勝って終われたことが、とにかくよかったです。『早慶戦』ですから。やっぱり監督がいつも体を張れ、『一球入魂』ということを言われているので、そういう精神が自然と沁みついていって、一球に対する集中力であったり、粘りであったりが出たんだと思います。その結果、こういった形で勝利を掴むことができました




 
後藤:その『一球入魂』の粘り、実際に試合で出る粘りというのは、普段のどんな練習で培われるものですか? 何か腹落ちした部分、これで実感したというものは…




 
佐々木:例えば、バッティング練習は5球で回していくんですけど、最初の頃はみんな1球目を適当に打っていたんです。流す感じで、体が温まるまで適当に打っていた。でも、それをしなくなって、本当に一番最初の1球目を大切にしようと皆が自然と思うようになっていったことで、そういったことの積み重ねによって、実戦での、ここぞ!の集中力が出てきたのではないかと思っています。最初の一球を大事にすること。流すのではなく、その一球しかないという気持ちでやることです



 
後藤:勉強になります



 


岡村:いやいや(笑)。これも後藤さんに共鳴したことなんですけど、国立や秩父宮でやるのではなくて、上井草でやるんだ、上井草でやっていることが、そこに出るんだと言われている。それは野球部も同じで、神宮でさぁやろうと思っていてもできないんですよ。あそこの場に行ったら、お客さんがたくさん入っていて、楽器が鳴っていて、緊張感があって、あそこに行ってやろうと思っても手遅れ。この東伏見で一球に集中してやっていないと、神宮で集中しろなんて言ってもできない。だから、ここでの一球がもっとも集中して大事にしなければいけないものなんだと、いつも言っています。後藤さんの考えを伺って、やっぱりラグビー部も同じなんだと思いました




 
後藤:でも、そこが弱いんですよね…今のチームは(笑)。野球とは違うので、僕の場合は、一発という言葉、英語で言うところの「one shot」。何かの映画で見たこの言葉を好んで使うんですけど、その一発のプレーを最近のラグビー部はことごとく逃していて




 
岡村:それはうちが秋に優勝できなかったのも、まさに一球、このワンプレーを決めていれば~、決めたら~、どうなっていたか展開は分からない。結局、優勝するかしないかというのは、突き詰めていくと、その一球、ワンプレー、one shotができたかできないかで、違ってきているんですよね。その勝率差となったひとつの負けというのは、そこに繋がっているということなんですよ。


  そういった面からいくと、代償は大きいけれど、大事なことにみんなも気付いたのかなと。これがもう勝点で負けていて、全然差がついた2位であれば、話は変わってきますけど、本当にひとつの負け、これで優勝をするのか2位になるのかの大きな違いというのは、その一球だったとみんなが気付いた。これは大きな代償ではあったけれど、大切なことであったと思っています




 
後藤:本当にその通りだと思います。佐々木くんがいる前で言うのもアレですけど、所詮最近の大学生ですからね。今のラグビー部もそうなんですけど、そういう切羽詰まった場面を経験して、その失敗を本当に骨身に沁みて感じることができたのなら、それはすごく貴重な敗戦になる。それを本当に貴重なものにできるかは、これからに懸かってきます




 
岡村:10何分の1なんだけれども、結局そのひとつの負けというのは、一球に対するミスということなんですよね



 
後藤:ラグビーは、一球どころか、3発も4発もミスしていて…(笑)




 
岡村:そうなったら、まず間違いなく負けますわね(笑)。うちも一球とは言いますけれど、やっぱり3つ4つミスが重なってきてるんですよ


 


 
 『一球入魂』『one shot』。それぞれの指揮官の言葉には、実感がこもり、重みがあった。同時に、ワセダを担うべき選手の姿も見えてくる―
 

 


 
―『早慶戦』で活躍する選手の条件、この大舞台だからこそ、こんな人間が信用できるというものはありますか




 
岡村:どうなんでしょう。それはもう『早慶戦』だけに限らないんじゃないですかね。ここ一番、ここ!というところで頼りになるかというのは、『早慶戦』だけに限らない




 
後藤:そうですね。そういうプレーヤーに何か特徴はありますか?




 
岡村:ここ!いうときに、ことごとく失敗した男が隣にいますけどね(笑)。でも、(春季リーグでは)一番おいしいところで、優勝を決める一本を打っているわけですよ。やっぱりやり続けた奴でしょうね。雨が降ろうが、風が吹こうか、暑かろうが、寒かろうが、やっぱりやり続けた奴が、ここ!というときにやってくれるということだと思います。本人はどうやって打ったのか、よう覚えてないのかも分からんけど(笑)。バットを振ったら、当たって飛んでいったという感じだと思いますけどね。だから、そこは無意識。普段やっているから、それができる。理屈ではないんでしょう。それは是非聞いてあげてください(笑)
 



 
―あの劇的な一打、無意識だったのでしょうか



 
佐々木:無意識でしたね。一球に集中していて、はい。それまで全然結果が出ていなくて…




 
岡村:散々失敗してますから




 
佐々木:春、自分は何をやってきたんだろうと思うくらい結果が出ていなかったんです。それでも、最後に打つことができて、これまでやってきたことは間違ってなかったと思うことができましたし、野球の神様っているんだと思いました。一番おいしいところをくれたという



 

 
―監督として、使うのを止めるという決断が頭を過ったりは…




 
岡村:だからスタメンで使うのは止めたんです(笑)




 
佐々木:途中からはベンチでした…




 
岡村:だからそういった決断をするのも、監督としては苦渋の思いでしていかなければならない。勝つための選択をしていかなければならない。それはキャプテンであっても、先発メンバーから外すという決断をしなければならなかった。とは言っても、やっぱり最後は、頼りになる、結果を出してくれるということです
 



 
―ラグビーではいかがでしょう。信頼できる選手
 




後藤:先日の帝京大戦でも、ペナルティゴールのシーンで、蹴ったボールがポストに当たって、それが愚直に追いかけていた選手のところに入ってトライになってしまうというシーンがあったんです。その子は、日頃の練習から手を抜かずに、マジメにやり続けている。そういった選手のところには、当然運みたいなものが転がり込んできますよね




 
岡村:そうです、そうです。昨年の秋に、4年生、それまで一度もリーグ戦に出たことのない、ベンチに入ったことのない選手を入れて、非常に難しい展開のなか、代打で出したんです。そうしたら、初打席で、『早慶戦』で、初ヒットを打ってしまった。それはやっぱり一生懸命努力をしたということでしょうね。決して上手ではなかったけれど、努力をし続けていた。やっぱりそういった子だからこそ、結果を出すことができた、努力すれば報われるということがあるんだなと




 
後藤:ラグビー部の先輩で、宿沢さんという方がいらっしゃったんですけど、その方の言葉に、「努力は運を支配する」というのがあるんですよ
 




 
 ここで、学生の気質、指導者としての苦闘に話は及ぶ。奇しくも、野球部もラグビー蹴球部も悩みは同じ。キーワードは「ゆとり教育」???
 
 



 
岡村:少し話は飛んでしまうんですけど、高校生と違って、大学生はやっぱり自ら考えて、自ら色々な工夫をして、自ら取り組んでいくものだと思うんですよ。高校では上の先生から「ああせい!こうせい!」言われて、それに対して素直に動くということなんでしょうけど。そんななかでラグビーは、ヘッドコーチがスタンドにいたりするじゃないですか




 
後藤:もう全然話はできませんよ




 
岡村:やっぱりハーフタイムくらいですよね。ラグビーをやっている人は、それが特性だと分かってはいるんでしょうけど、選手が主体になってやっていかなくてはならない。グラウンドに出ている選手が自ら考え、動いていく、状況判断していかなければならない。野球はサインを出せるからいいんですけど、とはいうものの、選手がこちらの指示以外のところは状況判断しなくてはならない。そうしたときに、どうすれば選手自身が自ら考えられるようになるんですかね




 
後藤:まさにそこの部分で、一番苦労していて…。あらゆる球技のなかで、ラグビーが一番その部分が求められるスポーツだと僕は思っているんです。特にワセダは、体が小さいなか、考える力で相手を上回って勝ってきた。僕のなかで、ここは絶対に譲れない、拘りたいところなんですね。先ほども話に出て、これがゆとり教育のせいなのか分からないんですけど、そういった自分で考えて、その場で判断することが苦手な子が極めて多い。これは恐らくワセダだけの問題ではなくて、他の大学も必ず同じ問題を抱えている。


  そのなかで、僕はそこは絶対に譲らずに、そこを最後まで改善する、考えられるようにしていきたいんです。あるチームはもう、好き勝手にやらせて、自由奔放にやらせて、あまり悩まないで、個人の持っているポテンシャルを最大限に発揮させて、それで勝負する。そんなチームもあれば、あるチームは、もう完全に言葉は悪いんですけど、飼い慣らす。この場面はこれだけやれ、これだけやれ、こうやれ。そういう風に動かしていく。このふたつのパターンだと思います




 
岡村:すると、ワセダの場合は、後藤さんの場合は、どういう風に選手に伝えているんですか?




 
後藤:実際にできていないのは間違いなくて、そこにはプラス精神力の甘さがくっついて、今のこの勝ちきれない状況があると思うんですけど、では僕自身どこをどうすればそれが改善できるのかというのは、見つけきれてないんですよね




 
岡村:それでも、色々とやられているわけですよね




 
後藤:特に指示を出すことが中心となるポジション、選手がいるので、そういった人間を集めて、ビデオを見て、ここはこうだったよなと




 
岡村:検証していくわけですよね。そのときに何を考えていたのか、どういう選択肢があって、どれがあったのか、それはなぜなのかと




 
後藤:そうです、そうです。その場では、「はい。そうですよね。分かりました」と答えるんですけど、「このとき何考えてたの?」と聞くと、「いやぁ…」って。でも、これはこうでこうだよなって言うと、「そうですよね」と返ってくる。で、またグラウンドに送り出すと、ひっちゃかめっちゃかなことをやり出して…。ある科学者に言わせると、もう10歳前後での環境が大きいらしいんです。そんなこと言ったら、今の大学生はどうしようもないのかよと




 
岡村:なるほど。まだ野球は指示を受けて動けばいいというのがありますからね。ただ、試合のときは指示があるかもわかりませんけど、練習のときは自ら考えて、自らやらなくてはいけないというのがある。全体的に言えることは、のんびりしているなぁと。これはゆとり教育の影響なのかもしれませんね。ガツガツこない。チクッとやられると、「あ、痛っ」とは感じるけど、「痛いなぁ」というくらいで、痛いからどうしようというところまで行きつかない。でも、何度も痛い思いをすると、痛くないようにするにはと考えるはずなんですけど




 
後藤:粘り強くですね。それでも、春先に比べては確実に変わってきているので、もう最後時間は限られていますが、やり続けるしかないです




 
岡村:そう、やり続ける、言い続けるしかないんでしょうね


 


―野球部では局面局面で、細かくサインを出されたりはあるのでしょうか



 
岡村:僕は何にもしないほうです




 
佐々木:例えば、狙い球をどう絞るかとかは、その日のピッチャーの調子もあるので、まず一巡目、先頭打者が得た状況をみんなに伝えて、共有して、どうしようかと自分たちで決めています。低め決まってないから、捨てて、ハイボール狙っていこうかとか




 
岡村:僕は野球よく分からないので(笑)。大体選手に任せています。盗塁?君行きたいときに行きなさい。バッターは勝手に打てとか




 
佐々木:足のあるランナーのときは、監督から「ここだけは行かないでくれ」というときだけサインが出ます




 
岡村:行かないでというサインはあるけど、行けというサインはないんです。もう行っていいよって。よほど遅いのは言いますから、「ちょっと待て」って。だからできるだけ僕はやらないで、彼らがここはこうやろう、ああやろうと思いながら、やっていく方がいいんじゃないかなと。状況を読みながら、判断しながらやっていくことが大切だと思いますし、これがまた社会に出たときに、上から指示されて仕事をするのではなくて、自ら状況を見極めて、どうしようとやっていけるように。そのためにできるだけ自ら考えて欲しいと思いますね
 





 
 最後に、大学スポーツ界の現状、ワセダとしてのあり方について、想いをぶつけ合った。いつの時代も変わらないもの、失くしてはいけないもの…、ひときわ言葉に熱がこもる―
 
 


 
―大学野球界の現状、今の姿というのは、どのように映っていらっしゃいますか




 
岡村:今はですね、冷静に分析すると、かつては東京六大学と東都が両雄で、学生野球界を引っ張っていた。今もその構図は変わらないと思いますけど、九州であったり、東北であったり、北海道であったり、地方の大学のレベルが非常に高まってきているとは感じますね。大学選手権、明治神宮野球大会と試合をやっていくと、まさに互角以上に地方リーグの代表が戦っていますから(この後、明治神宮大会で桐蔭横浜大学が亜大、法大を相次いで下し初優勝)




 
後藤:ラグビーの場合も、まさに同じようなことが起きていると感じますね。野球で言うところの地方が、帝京、東海、流通経済といった近年トップに躍り出てきた大学。入学しやすい条件、推薦制度が整っていて、設備も充実し、とにかくいい環境のなか競技に集中できる。加えて、以前ほど高校生にワセダや慶應でどうしても~というものがない。聞けば、地方の学生たちのワセダ希望数は減ってきている。受験者数の推移を見ても、後手を踏んでますよね。


  これはもう少し話を広げると、ラグビーも野球も同じで、中学も高校もとにかくスクールやリトルリーグのいい選手を引っ張って、強化する。乱暴な言い方をすると、いい素材を集めたもの勝ち。例えば、甲子園を見ていても、勝ち進んでいる地方の学校のメンバーのほとんどが大阪の子だったりして、地元の人がまったくシンパシーを感じていない。ラグビーも大なり小なりそういった傾向にある。


  この部分に関して、僕がお聞きしたかったのは、強化という面で、地方の大学が強くなるには、それなりのお金を使って選手を集めたり、環境を整えたりしている。ではそのなかで、ワセダは、慶應は、伝統校はどう対処していくのかという部分。それと、昔の映像などを見ると、六大学野球もものすごく盛り上がっていましたよね、ラグビーも僕が学生の頃などは国立が超満員でしたし。ああいった状況を取り戻すために、自分たちにできることは何なのか。この二つなんですが、いかがですか




 
岡村:どうやったら、他校と比較して強化できるのか…。佐々木、どうやったらできる? 練習するしかないんだけどなぁ



 
佐々木:そうですね。練習と、あとはやっぱり最上級生がしっかりしないと、能力が高くても勝てないと思います




 
岡村:今回思ったんですけど、彼らの学年、彼らが4年生のときのテーマが、4年生が一番苦しもう、要は4年生が常に先頭に立って、このチームをリードしていくということだったんですね。学生スポーツは、最上級生がどういった役割をチームのなかで果たしていくのか。上級生になるほどふんぞり返って、お前らやれと顎で使って、自分たちは全然動かないというのがひとつの傾向としてあるんですけど、今年の最上級生たちは自ら嫌なことも、苦しいことも、きついことも、先頭になってやっていってくれた。


  それを3年生以下が見て、あれだけ4年生がやっているんだから、自分たちもやらなきゃいかんと、ひとつの強力な推進力を4年生が担ってくれたのは、大きかったと思います。今、佐々木が言ったのは、あくまでも学生野球なんだから、地方のチームがそうして強くなったとしても、やっぱり原点は、上級生がチームをまとめて、牽引していく。そこに立ち返ることなのかなと思いますけどね




 
 
―セミプロ化していると感じるような現状もあるのでしょうか




 
岡村:どうやって強化しているのか、僕はよく解りませんけど、色々な体制やシステム、支援を含めて、充実してきているんでしょう。例えば、東京六大学というだけで、昔は皆がこぞって来ましたけど、優秀な選手たちが集まってきた時代と、今は違ってきている。全国分散化がひとつのモデルとなっていて、別に東京六大学なんて何がいいの?と、価値観がどんどん多様化しているので、まだ集まってはきますけど、昔ほどではない。だから、もうひとつのテーマである、どうやったらファンを集められるか、も考えなくてはいけないですよね。


  我々が学生の頃は、『早慶戦』にまったく優勝が懸かっていないのに、3回戦まで満員になるという時代でしたから、非常に恵まれていた。それは、江川世代で江川が入ってから非常に注目を浴びた、スター選手がいたからというのがあるんですけど、今はそんなスターがいるから人が集まるのかというと、どうなんだろうと。斎藤(佑樹=現・日本ハムファイターズ)がいた頃は、結構来たとは思うんですけどね。吉永(健太朗)という甲子園優勝投手が来ても、そんなに増えたわけでないですし。超がつくようなスーパースターがいれば、変わってくるのかもしれないですけど、見に来てくれた人たちが、何に対して一番共感、共鳴して、もう一度来ようという気持ちになるのかと言うと、やっぱり必死になった学生らしいプレーだと思うんです。プロとは違う訳ですから、技術が素晴らしい訳でもない。


  で、あるならば、必死に体を張って、執着してプレーをしている姿を見せる。「もう一度来て応援したろ」、「あっ、なかなか気持ちよかったね」というようなプレーを重ねていく。それをやり続けていく以外にないのではないかなと。それは、ワセダだけがやればいいものではないんですけど、ワセダがそういったプレーをし続ければ、相手がそれに勝てない。じゃあ、「あいつらに勝つにはどうしなきゃいけないんだ」ということで、また考え、工夫し、対抗してくる。そうすると、お互いが高いレベルのゲーム、プレーになっていく。見に来た人も、もう一回応援してやろうという気持ちになる。それを積み重ねていくしかないというのが、ひとつ。


  あとは、発信力でしょうね。どういった取り組みをしているのかを、今ある様々なツールを使って発信していくこと。露出機会を増やすことで、じゃあ行って見てみようかなという気持ちになるのではないかと
 



 
―野球部としては、積極的に取り組まれているのでしょうか




 
岡村:今の時点ではあまり…。少し考えなくてはいけないと思っているんですけどね。諸刃の刃というか、リスクもありまして、間違ったことを発信してしまうことがある。これは注意しないと、非常に自分たちのマイナスにもある。いいことばかり発信していればいいんですけど。例えば、悪いことも呟いてしまったら、それも発信になってしまう。すると、取り返しのつかないことが一気に広がってしまう危険性もあるので、これは相当慎重に発信していかねばと思っています。どうやったらもう一回、競技場に、球場に取り戻すことができますかね?




 
後藤:これは僕が今携わっているNPOの話に繋がってくるんですけど、僕の想い、理想というのは、ラグビーの場合、野球とは違って、附属校・系属校が強くないんですね。これは少し強化のテクニカルな話にもなってしまうんですが、推薦で採れる人間が限られていて、ワセダに対する憧れみたいなものも少し薄れてきているなかで、まずひとつは附属校・系属校との連携を強化して、一貫指導体制を作り上げる。


  今運営しているワセダクラブのスクールには、初等部の子も、近隣の子もたくさん来てくれているんですけど、そのなかで、子供から大学生、シニアに至るまでの一貫指導体制をワセダなりに、ラグビーであったら、上井草、杉並近隣で作り上げていきたいと。選手の地産地消といいますか、自分たちの周りで、大学がイニシアティブを取って、選手を育成していく。別にワセダ以外の大学に行ってくれても構わないんですけど、優秀な選手が大学に入ってきてくれて、当然幼い頃からワセダに馴染みが深いから、周りもワセダを応援してくれるようになる。


  そして、推薦に頼らなくても、ある程度最低限の戦力は、身の周りのスクール上がりの子であったり、附属校・系属校の子で確保する。僕は今、こんな仕組みを作り上げたいなと思っているのがひとつです。先ほどの甲子園の話ではないですけど、自助努力で選手を育てる。そこに資源を投資して、力を注ぐ。最近、「大学スポーツなんて意味あるのか?」なんて声もありますけど、その国のスポーツレベルをただ上げればいいんですか、高校からそっくりプロの世界に、国の代表に送り込むだけでいいんですか、という想いがあります。


  あとは学生に来てもらうというのは、突き詰めていくと、やっぱり接点だと思うんですよね。今は接点がなさすぎる。ひとつは所沢に運動部の選手が集中してしまっていることがあると思うんですけど、何かうまく一般学生との接点を、「あっ、何かあいつ知っている」という形にならないかなと。昔は、同じクラスだったり、同じ本部キャンパスで、それが大きかったのかなとは感じているんですよね。何かうまく一般学生と交流して、知り合いになる。自分の知っている奴が活躍している。そういった環境を作ることも効果があるのではないかなと考えているところです




 
岡村:応援部の皆さんも、できるだけ多くの学生が来てくれるように色々な工夫やアイディアを出して、努力してくれている。それに対して、我々も全面的に協力をしていく。スタンドに多くの学生が来てくれるようにする協力は、惜しんではいけないと思っています。今後藤さんが言われた、地産地消ではないですけど、野球部にも、早実があって、学院があって、本庄があって、大阪には摂稜があって、佐賀には佐賀早稲田がある。そういった付属校・系属校との連携を、おっしゃるようにもっと強固なものにして、即戦力レベルアップになるようにがんばってもらう。そのために我々も、グラウンドで一緒に練習したりだとか、こちらの方から出向いて指導に当たるとか、方策はあるのではないかと思っています





 
後藤:最低限、高校時代ここだけ鍛えておいてくれ、そこだけやっておいてくれ、みたいなものありますよね




 
岡村:本当にそうです。そういったアクションを取っていきたいなと



 

 
―佐々木主将は早実出身ですが、この辺りいかがでしょう



 
佐々木:オープン戦に来てくれたりはあったんですけどね。そこで、解散になってから、一緒に自主練をしたり、見てくれたりということはありました。でも、それ以外は特になかったです




 
岡村:もう少し交流してもいいのかなと思いますけどね




 
後藤:ラグビーの場合は、そもそも大学で続ける子が少ないんですよ。もう自分で勝手に、要は一部の優秀な推薦で入ってくる選手だけが目立って、自分なんかは通用しないと、戦意を喪失してしまっている




 
岡村:早実だって推薦入学の選手いるのになぁ




 
佐々木:そうですね。自分たちの学年は、そのうちの7人が大学でも続けているんですけど、その下が全然…




 
岡村:全国トップクラスの選手が入ってきているわけでしょ



 
佐々木:最近は本当にそういうメンバーが増えましたね



 
岡村:そのトップレベルがそのまま来てくれるだけで、相当な構成比になってきますし…



 
後藤:ラグビーもそのはずなんですよね。3~4人はいるはずなので



 
岡村:そういった選手が大学で通用するために、続けるために、最低限こんなことを~というのはありますよね



 
後藤:そんなに難しいことではないと思うんですけどね。体力と基礎の大切さだけ洗脳してもらえれば(笑)



 
岡村:野球部もスポーツ推薦という制度ができて、優秀な選手が入学しやすくなったとはいっても、やっぱり一人でも力のある選手が入ることで、競争していけるわけですから。それでチーム力は上がっていきますよね



 
後藤:ラグビーの場合は、そこはちょっと勝負にならないです。推薦で入学する選手の数が格段に違いますし、さらに学費免除があったり。こういった経済状況なので、そちらに流れてしまうことも多くて



 
岡村:野球もそういったことはありますけどね。非常に難しいところです。それは違うだろとか言いたいですけど、差し詰まった現実的な問題、色々な問題から、それが叶わない、難しい人間はいますから。付属校・系属校の場合は、そこにまた、何て言うんだろう、ちょっとした緩みや甘さ、普通にやっていれば少なくとも大学まで行けるなという思いがあると、そこからきつい思いしたくない、がんばるのは嫌となってしまうのかもしれませんね




 
後藤:それはあると思います。附属校・系属校の指導環境も大切ですよね。ラグビーなどは、OBが週末に来て指導するだけで、平日は自分たちでやっていたりしますから。そういった状況を改善できるのであれば、まずは考え方から叩きこむ。そんな仕組みを作れたらと思っています。せっかくこういった機会ができたので、強化の面と普及、大学スポーツを盛り上げるために、色々と一緒にやっていけたら嬉しいです




 
岡村:こちらこそ、是非ともお願いします


 


 
 対談を終えた後も、双方の意見交換は、しばらく終わる気配を見せなかった。そこには、言葉で表しきれない熱が感じられた。ワセダだからこそ、できることがある。ワセダだからこそ、やらなければならないことがある。野球部とラグビー蹴球部、今回の濃密なキャッチボールが新たな芽生えとなり、ここから強固なスクラムが組まれていくに違いない―
 

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